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第12話

 大雅はダンボールを開けて中に入っていた替えの制服や部屋着、タオルや本を取り出した。 タオルの間に割れないように大切に挟んだ小さなビンを取り出す。 中に入っているのはあの日の消しゴム。  あの日車で家に帰り、すぐに母にねだって小さなビンを買って貰った。 物に執着しない大雅の唯一の宝物だった。  結局、入学式で万里に会うことは出来なかった。 合格はしていたらしい。 クラス割の発表の時はSクラスに名前が載っていたから。 どんなに探しても見つけられなかった。 あのシルバーのキレイな髪を見つけることができなかったのだ。 なんで?と思っていてもわからない。 噂では事故にあって入院したらしい…とか、親について海外に行ったらしい…とか。 なぜか調べてみてもわからなかった。  そうこうしているうちに、生徒会に入ったりしてなんだかんだと忙しくなり、万里の事はふとした瞬間に思い出すが頭の片隅に追いやられていった。 学校に通っていれば、あの髪色だから目立つしすぐにわかるだろう。と。 …それが中等部を卒業して、高等部に入り2年になっても見つからない。 そして…今日、やっと見つけた。 やっと見つけたんだ。 幼かったあの日の自分のドキドキした気持ち。 繋いだ手の冷たさ。 返したくなかった消しゴム。 会えると思って楽しみにしていた気持ち。 会えなかった寂しさ。 あの日、自分から手を繋いだ、繋げた意味。 物にも人にもあまり興味がなく執着しなかった自分がこんなに会いたいと思っていたなんて。 「…まぁ、そういう事だよね」 ビンを目線の高さに持ち上げ、中をみる。 「ふふっ。どうしようか」 コロコロと中身を転がしてから、コンと机にビンを戻す。 「覚悟してて」 ニッコリとキレイに笑った。

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