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第13話
物思いにふけっていると、インターホンが鳴った。
静かな?と思ったが静だったらスペア使って勝手に入ってくるかと思い、扉に向かった。
「はい」
と答えながらガチャっと扉を開ける。
「チョッ!カイチョーサマ、すぐに扉開けちゃダメだよ!」
え?と思ったら目の前には万里が立っていた。
「S寮でも言われてたでしょ?キチンとカメラで確認してから出ろって」
玄関横の小さなテレビを指差す。
「あ、そっか。そうだよね。ぼんやりしてて…」
慌ててテレビを確認する。
その姿を見て万里はブフッと吐き出した。
「今更見てももう意味ないし」
なんなのこのヒトって笑っている。
少し笑いが収まると、真剣な顔になり
「あのサ、ここ、F寮だから。基本的にイイヤツばっかだけど、あんま言いたくないけどS寮と違ってガラ悪いのもいるから…」
「ああ、うん。ありがとう」
「?なんでありがと?」
「心配してくれてるんでしょ?」
「…まぁ、そう言われたらそうなんだけど」
「でも特に高価な物とかも置いてないし大丈夫だと思うよ」
コテリと首を傾げて答えた。
「うん、あー、そうでなくて…」
頭をガシガシかきながら万里はあーとかうーとか呻いている。
あ、と気付いた大雅は
「大丈夫だよ。こう見えて護身術は完璧だから」
グッと腕に力を込めて力瘤を作って見せた。
「あはは。カイチョーサマって思ってたよりオモロイ人だねー」
「そうかな?初めて言われたよ」
「えー?マジで?」
「うん。マジで」
アハハーと笑う万里。
それをニッコリ笑って見つめる大雅。
「カイチョーサマもそんな話し方すんだねー」
意外だねって万里が笑った。
「意外かな?」
「ウン。カイチョーサマってさ、カイチョーサマ!って感じの話し方してたじゃん?」
「ん?カイチョーサマ!って感じの話し方?」
「そ、カイチョーサマー!って感じ」
アハハと万里が大きな声で笑った。
豪快に笑う万里がとてもキレイだと思った。
「カイチョーサマ、結構いいキャラしてんだねーもっとお堅くて近寄りがたいヒトだと思ってたからサ」
万里は目尻に溜まった涙を拭った。
「…まぁ、生徒会長とかやってると必然的にね、そう思われても仕方ないよね」
いつから自分の事を知ってくれていたのかわからないけど、近寄り難いタイプだと思われていた事に少なからずショックを受けてしまい、少し拗ねたような口調になってしまった。
「カイチョーサマ?」
「大雅」
「ん?」
「カイチョーサマはもう辞めさせられたの。だから、大雅って呼んで」
例の転入生みたいな事言っちゃってるよ…とそんな自分に呆れる
「タイガサマ?」
首を傾げて万里が初めて自分の名前を呼んだ。
思ってたよりも破壊力がある。
「呼び捨てでいいよ。同い年だし」
「あー、じゃあ、お言葉に甘えて?」
「うん」
「タイガ?」
「うん」
好きだ。
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