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第6話・淫鬼。(中編)
ごとり。
それは音を立てて動かなくなった。
これでようやく眠りに就ける。
あやかしとて魂はひとつ。
人間と同じように射貫けば終わる。
その筈だった。
「ご主人さま……」
こちらを見下ろし、にたりと笑う白髪の老人がいた。
充血した白目が男を射貫く。
おぞましいその老人の姿に火縄銃をくれてやることすらも忘れ、叫んだ時だった。
老人は男の四肢をその腕と足に絡め、拘束してきたではないか。
男がどんなに藻掻こうとも、拘束は外れない。
老人は男よりも貧弱な身体つきをしている。いったいどこにこんな力があるのだろうか。
「なにを!」
驚愕していると、
「さあさ、喰らいなされ」
老人の震える声の呼びかけに、火縄銃の弾を受けた大鬼の身体がむくりと起き上がった。
たしかに手応えはあった。
男はしっかり大鬼の心臓を撃ち抜いた。
しかしなぜか大鬼は何もなかったかのように起き上がる。
「腹が減った……腹が減った」
ずり、ずり。
四肢を這わせ、男の前にやって来る。
「……ひ」
老人に絡め取られたおかげで火縄銃を手にできない。
(喰われてしまう!)
男は、恐怖に叫ぶ。
それはひたひたと手を這わせてくる。
「ご主人様、さあ、喰らいなされ」
老人はもう一度そう言うと、男が着ていた着物の合わせ目をそっと広げた。
露わになったたくましい筋肉質な胸板を見た瞬間、鬼はにたりと口を歪めて笑った。
口の両端には大きな牙が見える。
ひた、ひた。
自らが垂れ流した鮮血に染まったその手で胸板をなぞる。
そして、鬼は胸板に乗っている蕾のひとつを含んだ。
ちゅう、ちゅう。
「っひ」
吸い上げられれば、おかしな疼きが生まれる。
見下ろせば、鬼の唾液で濡れた蕾は赤く膨れ、ツンと尖って胸の上で強調している。
こり、こり。
骨張った指がもう一方の蕾をこね回す。
「おう、おう。赤い蕾じゃ。大きく膨れておる」
老人が口にした時だ。
ぴしゃ。
雷鳴が聞こえたかと思えば、突然閃光が周囲に走った。
明るい閃光のおかげで男の蕾が見える。
老人の言うとおり、ツンと尖った蕾は赤くふっくらと熟れている。
鬼に舐められたことで、蕾には唾液を纏い、それがまた卑猥さを醸し出していた。
まるで女のようなあられもない胸を目にした男は、かあっと羞恥に染まる。
「やめろ、やめてくれ!」
男が首を振れば、鬼は喜々としてもう一方の蕾を口に含んだ。
ちゅう、ちゅう。
吸われれば、蕾はより胸板で強調し、尖る。
「ああ、あああ……」
ふたつの蕾を刺激され、男の下肢に熱が宿った。
「喰わせろ、喰わせろ」
鬼が言う。
「う、っぐ。あっ!」
下肢が疼く。
男は気が付けば腰を揺らし、喘いでいた。
「おう、おう。もっと舞え。もっと乱れろ」
老人は着物の裾を広げ、下着を外すと男の欲望を取り出してみせた。
「雫が垂れておる」
皺のあるその手が男の欲望の下にある陰嚢を包み込む。揉み扱けば、欲望からはいっそう蜜が溢れ出す。
より広げられ、仰向きになる身体は、尻孔が披露されている。
鬼はにたりと笑う。
鬼は自らの欲望を男に見せた。
それは赤黒く染まり、血管が剥き出しになっている。腕ほどの大きさはあるだろうほどの肉棒だった。
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