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第6話・淫鬼。(後編)

「っひ、やめろ、やめてくれ……ああ、っは、うう……」  何をされるのかを理解した男は声を荒げ、泣き叫ぶ。  けれども老人の手が陰嚢を揉んでいるからどうしても喘いでしまう。  鬼はけたけたと笑い、反り上がった肉棒を男の尻孔に埋めた。 「っぐ、おぅうう……」  びり、びり。  鬼の肉棒が男の尻孔を穿り、最奥目指して進んでいけば、引き裂かれる肉音が聞こえる。  痛みを伴う筈のそこは、けれども不思議なことに快楽が上回っていた。 「っひ、ああっ!」  男は知らぬ間に嬌声を上げ、腰を揺らしている。  ぱすん、ぱすん。  肉音がぶつかる音がする。  唾液で濡れそぼった蕾がふるふると震える。  鬼は嬉しそうに笑い、老人から男を奪った。  男の体位が変わる。 「っひ、っぐ、深い……深いぃいいいい!」  四つん這いにされれば、さらに最奥まで鬼の肉棒が埋められた。  太く雄々しい鬼のそれで肉壁を擦り上げられれば、もう快楽しか感じない。  鬼の手が胸に回る。  蕾を弄られながら中を掘られれば、どうすることもできない。  腰を揺らし、イヤイヤを繰り返して涙を流す。  下肢を見れば、鬼に穿たれ、悦んでいる孔が見える。  大きく反り上がった欲望からは雫が絶えず流れ、涎を垂れ流していた。  このおそろしい有様を目にした男の下肢は、鬼の肉棒をよりいっそう咥え込む。 「っひ、うっ、がああ……」  ぎりぎりと鬼の肉棒を締め付ければ、鬼は腰を揺らし、さらにもっとと男を快楽へと押しやる。 「おおおおう、おおおう」  鬼はいっそう深い抽挿を繰り返し、最奥を突く。 「あ、っぐ、深い、深いっ、っが、あああああ」  鬼の白濁が勢いよく腹の奥へ注がれる。  白濁を吹きかけられれば、身体が上気する。  中が掻き回され、男はただ喘ぐしかできない。  腹が膨れていく。  強烈な刺激が男を狂わせる。  男は自らも白濁を流し、果てた。 「あ、ぐ……」  がくりと身体が頽れる。  しかし鬼はまだ満足しない。 「もっと、もっと喰わせろ……我が子を孕め……」  鬼が口にした瞬間、卵のような大きな何かが埋め込まれる気がした。  下腹部が膨れている。 「っひ、あああああ」  新たな刺激を受ける男は、しかしもう出す物がない。  じょろじょろと粗相を漏らし、白目を剥いて喘ぎ続ける。  涎や鼻水。吹き出る汗と快楽の涙。鬼の白濁で男はあらゆる汁で濡れている。 「良い子じゃ、良い子じゃ」  鬼は、開きっぱなしになっている男の口を自らの口で塞いだ。  ちゅう、ちゅう。  口を吸われれば、新たな刺激が加わる。 「っふ、ううう……」  にゅるにゅると動き回る鬼の舌が、男の口内すべてを犯す。 「あ、っぐ、ああっぐ、っふぅううう、あふ、あふ」  鬼から解放されれば男の口は開き、またひいひいと声を上げる。  ちゅぶ、ちゅぶ。  舌を吸われ、絡め取られる。 「ん、ふぅうう……」  白目を向けて失神状態のまま、喘ぐしかできない。 「気に入った、気に入った。これに産ませよう……」  鬼は言うと、さらに男の腰を持ち上げ、接合させる。  びゅく。  鬼の白濁が再び最奥へ解き放たれる。 「っが、なか、らにかいる……らりか、いる……」  男が腰を揺らせば、腹に何か痼りのような何かがあるのがわかった。 「子を孕め、子にも喰ってもらおう」  ぱすん、ぱすん。  肉塊がぶつかる。 「より快楽をお前に与えてやろう」  ぬちゃ、ぬちゃ。  胸を揉まれれば、より蕾が膨れていく。 「気に入った、気に入った……」 「この淫らな肉塊、気に入った……」  ……ずり、ずり。  男の肉体が深い闇へと引きずり込まれていく……。  それ以来、男の姿は見えない。  行方知れずとなってしまった。  誰もいない筈の古びた荒れ寺で、赤ん坊の泣き声とそれから男が喘ぐ声が聞こえたとか聞こえなかったとか……。  それは嘘か誠か。ただの怪談話である。  《第6話・淫鬼/完》

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