6 / 113

【6】強力な精神汚染の気配

「怖い夢を見たのです」 「なんだ、一人寝も出来んのか」 「一緒に寝てくださるのですか?」 「元々――貴様が」 「お腹に子供がいるのにえっちなことをするのは、気恥ずかしくて……心にもないことを言いました」 寝室が一緒なのは、子作りのためだ。 子供が出来たなら、一緒に寝る意味はない。 そう思って、寝室を分けることになった。 だが、そのせいで側室がやってきて俺が死ぬのなら意味がない。 俺はアリリオさまから邪険にされたくなくて、先回りして動いていた。自分のことばかり考えて、損な選択ばかりをしてしまった。 「エビータは異能により安産なので、身籠った瞬間から安定期です。えっち……できますよ」 以前は義務として、イヤイヤだった。それも悪かったのだろう。 積極的に動くということをしなかった。 見た目が綺麗でもない、女性的な柔らかさもないのだから、俺を抱く利点がない。 「誰かに洗脳でもされたか? が――」 「いえ、気づいたのです」 「なんだと?」 「男はスケベな生き物です。今まで、そういうところを見せるのが恥ずかしいことだと思って我慢していました」 肉付きの良い女を側室に入れることを思えば、アリリオさまの好みは性的な人間なのだろう。 俺は他人から欲情されるタイプの容姿ではない。 だからこそ、そのイメージを壊せば俺たちは新しい関係に生まれ変わる。 肉欲の前で、男は無力だ。 下半身の言いなりになることを誰も責められない。 だからこそ、俺が先にそこを攻める。 アリリオさまを射精することしか考えられない、射精猿にするのだ。 愛される第一歩として、楽しい性生活を始めてみようと思う。 アリリオさまの寵愛を得るために気持ちを新たに再出発だ。 赤く染まっているアリリオさまの首元にくちびるを寄せる。 文句を言われたが、怒っているようには見えない。 むしろ、勝ち誇ったように笑っている。 何かを喜んでいるようだ。 どういうことだろう。 夜のことが楽しみなスケベということだろうか。

ともだちにシェアしよう!