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〔七〕自分だけの特別な相手以外を気にかける意味などない

シャワーヘッドから出るお湯に負けて性器から手を放したり、距離を置くかと思ったが、顔の向きを変えて動かない。 お湯に耐える理由は、美味しかったからだろうか。 子爵の息子とは思えない、品のない行動をとることがある。 お湯を止めてシャワーヘッドを床に転がすと、はしたなく性器を舐めてきた。 戸惑いながら舌を伸ばすというよりは、積極的に舐めて、音を立てて先端を吸い上げる。 滲み出る汁を美味しいと感じているからか、舌の動かし方に遠慮がない。ふーふー鼻息を立てながら、性器に頬ずりしたり、上あごや頬の内側にこすりつける。 手は竿だけではなく、袋をやわやわと刺激してくる。 以前に潰す勢いで握ったり、踏んづけた、雪辱を晴らしてこないところが、彼の尊敬に値する愚かな部分だ。 彼からの愛撫や奉仕を期待していない。 私自身が彼に対して奉仕をしているわけではないからだ。 勇者語録を引用するならチキンレースという単語になるのかもしれない。 始まってしまったものを終わらせることが出来ない。 引くに引けなくなったせいで、正面衝突しようとしている。 横にそれたり、止まることが出来ずにいるのは、お互いさまだということを今日まで自覚がなく生きていた。 彼をバスタブに落とした後、側室候補として呼び出したビジョーアの娘と改めて顔を合わせた。 乳母であるファーラを殺しかけたというから救いようがない。 ピネラは私と共に魔獣を倒してばかりいたから、異能持ちのあつかい方がなっていない。 教育室にある各種の鞭や電気椅子などで人格が矯正されるかと思ったが、根っからの貴族令嬢として育った女では無理だろう。 懸命に私の性器を舐め続けている彼にファーラを脅して、毒を盛ろうとしていた。 彼が死んだどころで自分の地位が上がるわけでもないが、それに気づかないほど頭が悪いらしい。あるいは、自分よりも幸せな人間がいることが気に入らないから、彼に危害を加えることが出来れば、それだけで満足なのかもしれない。 ファーラが脅しに屈するはずもなく抵抗したため、腰を痛めたことは残念だ。 リーとライは、あくまでも戦闘メイドとして雇用している。身の回りの世話を任せるつもりはない。 だが、そうも言っていられないだろう。 を考えると世話係は必要になる。 彼からすると完璧な使用人より、足りないぐらいの人間のほうが、やりやすいはずだ。 「……んっ、ちゅ、アリリオさま……あの、気持ちよくない、のでしょう、か? ビクビクしてますけど、射精感はありません?」 「技量はともかく、目の前に広がる光景はなかなか壮観だ。キュルーリが出たり入ったり、しているのが床に反射して確認できる」 鏡というほど鮮明ではないが、磨かれた床は面白いものを見せてくれる。あれほどつかんで離さなかった私の性器を手放して、しゃがんだまま後退するという無理なことをして、バランスを崩した。 呆気なく白濁液を放出する間抜け面は情けない顔の上位になる。 座り込んだ衝撃で細長いトゲトゲしたキュルーリか、球体でゴツゴツしたラチリンが奥まで入ったようで、射精後に「取れなくなったら、どうしよう」と冷静に心配しだした。 入れたり出したりして、人の性器を舐めつつ遊んでいるのかと思ったが、奥に入りきらないようにお腹に力を入れていたらしい。 「出なくなったら腹を殴ればよかろう」 「妊娠している人間に何を言っているんですか。人の心がなさすぎます。……もう、変なことしないで」 浴室の床に崩れ落ちているような彼は、自分のことをあまり理解していない。 常日頃、無言で耐えているせいで、反論を聞いてやりたい気持ちにならない。 頼むのなら頼むで、断りにくい状態で頼み込んで欲しい。 こちらの良心を信じ切っているような、他人の意思に任せた願いなど、誰も聞いてはくれない。 私でなければ叶えたりなどしないだろう。

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