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【6a】レア中のレア

第二王子という言葉に鳥肌が立つ。 扉が開けられたことで、ミストサウナ状態だった浴室が少し冷え込んでいる。 「弟と母の死の原因を解明したと言い出した」 心がざわざわと落ち着かなくなる。 淡々としたアリリオさまの声音は、家族の死因を語るにはあまりにも冷たい。張り詰められた、糸は凶器だ。食材を切断できる。 緊張などしていない、自然体に見えるアリリオさまだというのに触れたものをすべて、切り捨てるような不自然さがある。 「私が二人を殺したのだと、アレがいる場面で第二王子は言った。揺らいでいた心が決まったのだろうよ」 心の一部を殺さなければ、口にできない言葉だ。 夢の中で、息子がアリリオさまに言っていた。 第二王子に聞いたのだと言っていた。 こんな悲しいことを、どうして第二王子は口にしたのだろう。 アリリオさまが家族を殺すわけがない。 そんなこと、昔から交流がある第二王子なら分かるはずだ。 「そんなわけないだろっ! ありえないっ」 何かを叩くような鈍い音と執事の怒声。 第二王子に向けた怒りだろう。俺も同じ気持ちだ。ひどい侮辱だ。 「あー様がどれだけ頑張ってたか! 自分が進めてた事業や計画も兄弟の共同名義にして、社会的に居ないことにされそうになっていた弟を守っていたじゃないか」 夫の価値を上げるのが妻の役目だと思って、アリリオさま名義で慈善団体に寄付をしているが、お金の出所が俺の個人的なものだったので怒られたことがある。 名声なら有り余っているから、俺の地位を向上することを考えろと言われた。自分の名前を使って動かれるのが嫌なのだと思っていたが、違った。 俺が陰に隠れすぎているから、ある程度は存在感を示せと、そういう話だ。 「そんな、馬鹿みたいな嘘を弟は信じたっていうのかっ」 悔しそうな執事の声は弟への失望とアリリオさまへの申し訳ない気持ちと自分への後悔が見て取れる。 「私が二人に直接手を下したわけじゃない。弟が母を殺して、自殺したのだと、いろいろな情報から第二王子は推測したようだ」 思わず奥歯を噛みしめようと力を入れてしまった。 第二王子への怒りが強すぎた。 弟が母親を殺して自殺したことの原因が、アリリオさまだとしても、アリリオさまが殺しただなんて言い方は間違ってる。 「……ぐ、ぅ」 ちんこしゃぶり中に歯を立てたら、そりゃあアウトだ。 疲れていたので、あごの力が弱くなっていたとはいえ、見事に歯型がついている。 床に額をこすりつけても、許してもらえないかもしれない。 うめき声をあげているアリリオさまなんて、レア中のレアだ。 ちんこは男の弱点だ。 アリリオさまでも、鍛えることが出来ない。

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