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第3話
人は俺の顔を悪人面だと評する。
その通りなんだろう。子供と目を合わせただけで泣かれる。お年寄りには逃げられる。クラスの女子と顔を合わせると、「ひっ」と怯えられる。
つり目がちの目。無愛想な口元。極めつけは、瞳が小さい三白眼。目が合えば「睨んでいる」、普通にしているだけで「怒っている」。
それが俺、片山瑠衣 の人相だ。
愛想がないのが原因かと思って、笑ってみた。そしたら、余計に引かれてしまった。「何か企んでる」とか「怖い」とか言われて。
嫌がらせで、俺の顔を使って指名手配書を作られ、学校中に貼られていたこともある。自分で見ても似合いすぎだと思った。どこの凶悪犯だよ、と。
そんな自他ともに認める悪人面の俺。あろうことかバース性がオメガだった。何かの冗談であってほしかった。
オメガと言えば、普通はちっちゃくて、華奢で、かわいいものだ。確かに俺も体自体は小柄な方だし、顔立ちもそこまで不細工というわけではないけれど。とにかくものすごく目つきが悪い。それに尽きるのだ。
診断書をもらった時、俺は死にたいと思った。こんな悪人面のオメガと番 たいと思う奴が存在するはずがない。
しかし、そんな俺に転機が訪れたのだった。
榊原天音 と出会ったせいで。
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