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第4話
新木の家は病院から少し離れた所の繁華街にあった。最上階が雲に隠れてるんじゃないか、と思うほど高いマンションで、見るからに高そうな外観だった。
「……もしかして、新木さんってお金持ち?」
エレベーターが静かに上がっていく中、少しだけ声を潜めてそういうと新木が笑う。
「何で小声なの。お金持ちじゃないよ、使う所がないから、家でも買っちゃおうと思って買ったんだ」
家でも買っちゃおう、のノリで買える家じゃない……と思いながらも、そうですか、と返事をする。
「気に入ってもらえると嬉しいんだけどね」
エレベーターが止まり、開く。
長い廊下を新木について歩いていくと、一番端の玄関扉を新木が開ける。
「どうそ、気にせず入って」
中に入ると電気が自動で着く。
茶色を基調とした扉が何個かあり、新木は靴を脱ぐと真っ直ぐに進んでいく。
「ここがリビングね。廊下の一番手前にあった部屋が、夏希くんの部屋でいいかな?」
リビング、と説明された部屋に入ると、壁一面が窓になっていて、そこからは綺麗な夜景が見えた。
「すごい……上からの景色ってすごいね」
そういうと新木はすこし笑って、すぐ横に来た。
「もう慣れちゃって、外見る事なんてなかったけど……。ほんとだね、キラキラしてる」
間接照明だけのリビングで、新木を見るとすこしだけ心臓が高鳴る。
こんな外見でこんなお洒落なマンションに住んでるなんて、女だったら絶対落ちてるな。
そんな事を思い、廊下の手前の部屋に向かう。
「わ、家具とかも用意してくれたの?」
扉を開けると、白いラグに同色のベットシーツ。ハンガーラックにはジャケットの類がかかっており、まさかとクローゼットを開けると、服がたくさん掛かっていた。
「気にしないで、僕の着れなくなった服とかばかりだから。下着類と靴下は全部新品だよ」
ウォークインになっているクローゼットを見回すと、確かに少しだけ着た形跡のある服ばかりが掛かっていた。物によってはクリーニングの袋が掛かったものも。
「この部屋は自由に使っていいからね」
その言葉に、ありがとう、と告げると、新木は部屋から出て行った。
すこしだけ、違和感を感じて部屋の中をぐるぐると見回す。
白いラグに白いシーツのベット、ベットサイドのテーブルには時計が置いてあり、扉のすぐ近くには姿鏡が置いてある。全身が映る鏡に近づくと、目覚めてからあまりマジマジと見たことのなかった自信の顔が映る。23歳、と新木は言っていたが、自分で言うのも何だが若く見える。それこそ高校生くらいでもおかしくない。顔の良さ悪さは自身で何もと表現できないが、23歳に見えない、幼い顔、それが自身の顔をみて感じる事だった。
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