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第3話
「んっ……はぁ……あっ」
喫茶店『ブランカ』の裏通り。そこは建物の狭間の空間だ。袋小路となっていて、誰も近づかない。
普段はしんと静まり返っている一帯。
そこに激しいリップ音が響く。合間に聞こえるのは少年の甘い声だ。
マスターに断りを入れて店の裏へとやって来たユティスは、即座に壁に押しつけられた。そして、噛みつかれるようにキスを受ける。口内をめちゃくちゃに蹂躙されて、体中の力が抜けていく。
レオンハルトはとてもキスが上手いと思う。いつもあっという間に何も考えられなくなってしまう。ずり落ちてしまいそうになる体を、腰へと伸びてきた手が支える。
ようやく口を解放されると、レオンハルトはにやりと笑った。
「『ブランカ』の常連どもに見せてやれよ。発情した雌犬みたいに、涎垂らしちまってるそのだらしのねえ顔をな」
そう言い放つ騎士の表情には、先ほどまであった精悍さは微塵もない。黒い瞳に宿るのは、獲物をいたぶって悦ぶ嗜虐性だけだ。
服の上から乳首を乱暴につままれて、少年はのけぞった。
「や、ぁ……!」
「店の裏でチンコ勃たせちまうとは、とんだ淫乱だよな」
続けてズボンの上からなぞられて、ユティスはびくびくと体を震わせる。
昼間から、それも働いている店のすぐそばで。
こんな風に好き勝手にされて、マスターやお客さんたちに見られでもしたらどうしよう。そんな背徳感がますます興奮を煽る。少年は羞恥に目を潤ませながら、レオンハルトを見上げた。
「レオン……もうやめて……!」
「口ではそう言うが、こっちはもっといじってほしそうじゃねえか」
服の上から、すっかり反応を示してしまっているそれを撫でられる。やめてほしいのに、気持ちいい。
少年がわずかな期待を含みながら、喉をごくりと鳴らすと。
「……そろそろ休憩時間が終わっちまうな」
非情にもあっさりとその手が離れて行ってしまう。
ホッとしたような、残念なような。2つの感情が入り混じった双眸で、少年はその様子を眺めた。
そんなこともレオンハルトにはすべてお見通しなのだろう。ユティスを見下ろして、意地悪く笑った。
「続きがしたいんなら、今日の夜、家に来な」
そう言い置いて、さっさと背を向けてしまう。
ユティスはすっかり足腰が立たなくなって、その場にずり落ちた。マスターが自分を呼びに来るまで、ずっと顔を赤くしたままだった。
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