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第14話
これではいつものようにいじめられているみたいだ。
涙目で請うが、レオンハルトはさっと視線を逸らしてしまう。目が合うと煽られてしまうので、もうこちらを見ないことに決めたらしい。
その間に中をほぐす指が数を増やす。3本目の指を呑みこまされて、ばらばらに動かされれば、ユティスはたまらずに涙をあふれさせた。
「もう……苦しい……っ」
少年の小さめの性器が弾けんばかりに膨らんでいる。
かすれた声で訴えると、ようやく指が離れていった。
「んっ……あ……!」
ユティスの体が跳ねる。勢いよく白濁を吐き出した。びゅくびゅくと飛び散ったそれは少年の白い腹を汚す。限界まで我慢してから出したので、しびれるような快感が全身を満たした。
ぜえぜえと息を吐き出す。倦怠感に包まれ、指先1つ上げることができない。これ以上何かされたら壊れそうだ、とそう思っているくらいなのに。
目の前の男は淡々と自分のベルトを外している。休ませてくれる気配すらない。
しかし、猛り狂った肉棒を押し当てられてそうになって、ユティスは笑った。荒い息の中で、試すように尋ねる。
「ねえ、レオン。俺とシたい?」
「は?」
「こういう時は、何て言うんだっけ……?」
「おまっ……お前なあ」
意図を理解したのだろう。レオンハルトは焦ったように視線を逸らす。束の間、逡巡するが――やがて観念したように項垂れた。
「……どうか、挿れさせてください」
「はい、どうぞ」
ユティスは笑顔を浮かべて、両脚を開く。
すぐに後ろへと押し当てられた。焦らしてこないということは、レオンハルトの方も余裕がないようだ。内壁が限界まで押し広げられて、中へと入ってくる。その苦しさにユティスは、息を吐き出した。始めのうちの異物感と苦しさにはいつまで経っても慣れない。
全部が埋まったかと思いきや、間を空けずに中を突き上げられる。ユティスの背中が跳ねた。
「あ……っ」
始めから全然、容赦がない。がんがんと叩きこまれて、頭の中が真っ白になる。激しくされてもしっかりと快楽を拾ってしまえる体に作り変えられてしまっていることが悔しかった。
「やっ……あ、ぁん……あぁ」
動きに合わせて、桜色の唇から甘い声が漏れ出す。
レオンハルトは的確に奥を突きながら、尋ねてくる。
「ユティ。お前は誰のもんだ?」
「そ、それ……今日も言わなきゃいけないの……っ、あ、ぁん!」
ユティスは涙目でそちらを睨みつける。
しかし、迫りくる快感に前後もわからなくなった。必死で答えを出す。
「俺は……あ、レオンの……レオンのものです……!」
「いい子だな」
少しだけその声が温かいものへと変わる。すると、ユティスの心は火が灯ったように熱くなってしまう。
ずるい、と思った。やっぱりこの男にはずっと敵わないままなのかもしれない。
「じゃあ、レオンは……? レオンは……誰のもの?」
そちらを見上げながら、ユティスは聞き返す。
すると、いつも意地悪な表情ばかり浮かべている騎士は、ふっと笑った。
それは見たこともない優しげな表情だった。
「――お前のもんに決まってるだろ」
恋愛は好きになった方が負け。
それなら、最初から俺の大敗です――。
そう思いながらも、少年は達してしまう。目の前がちかちかするほどの衝撃。達してしまったはずなのに、なかなかその絶頂感が引いていかない。
おかしくなりそうなほどの快感の波に身を任せる。頭が呆然として、いつ自分の中に欲を吐かれたのかも判断つかなかった。
少年は息も絶え絶えに、ベッドに沈んだ。
レオンハルトとの行為は気持ちいいことは気持ちいい。でも、死んでしまうかもしれないと思うほどに刺激が強すぎる。何度もイかされてしまうので、疲労感も大きい。
こんなのは一度で十分だ。
と、そう思っていたはずなのに。
ユティスは気付いて、顔を上げた。
中に埋もれたままのそれが未だに抜かれていないということに。
「あ……あの……?」
恐る恐るそちらを見上げる。少年を組み敷いている男は、淡々とした様子でまた腰を揺らし始める。すると、中のものが徐々に硬さを取り戻していく。
「ああ……少し待ってろ。今、戻すから」
「いやいやいや……! もう、しないよ!?」
「別にお前の意見は聞いてないが?」
有無を言わせぬ口調で言われ、ユティスは唖然とした。
何かすっかり俺様が復活してるんだけど!? と。
これはまずいと少年は焦る。そして、閃いた。
(そうだ、こんな時こそ俺の特技を……!)
この俺様騎士を意のままに操れる特技。今こそ有効だろう。
ユティスは一瞬で目を潤ませると、必死にレオンハルトを見上げる。
「あの、あのね。レオン……。今日はもう、やめておこうよ……?」
すると、レオンハルトがこちらを見下ろして、固まった。
直後。中のものが質量を増して、完全復活を果たした。
「あれ、ねえ、何で!?」
「いや、お前……それは、逆効果だから」
どこか呆れたように騎士が言う。
しかし、中を突かれて、身もだえている少年の耳には、もうすでにその言葉は届いていなかった。
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