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初耳3
もう少し長い言葉を聞きたい。どんなふうにその声は響くのか、普段の言葉で、その声を聴きたい。
置いて行かれないように着いて行くがその生徒は近くの扉の前で止まり、ノックするとドアを開いた。
俺を振り返って中に入るように視線で促した。
喋れよ。
促されるまま中に入るとそこは職員室だった。
生徒が授業中ということもあって、教師も授業に出ていて数人しか残っていない。
俺を連れて来た生徒は、中の先生を呼び出すためか、開けた扉を強くノックして注目を引いた。
「ああ、桃香(トウガ)君ありがとう」
1人の若い教師が立ち上がってこっちに来ると桃香は頭を下げて職員室から出て行った。
もっと声を聞きたかったのにと残念に思って、その後姿を見つめていたが、その姿はすぐに見えなくなってしまった。
「比嘉君だね。今は授業中だから先に寮の方に案内するよ。荷物は先に届いているから。俺は用務員の芝田(しばた)」
「用務員?」
「授業中で先生たちは出払っているから。叔父さんだっけ? 後藤先生も今は授業中だから私が案内を頼まれているんだ」
「そうですか。よろしくお願いします」
用務員の芝田は焦げ茶色の繋ぎの作業着を着ていて、「俺は教師じゃねえから」と言って俺を連れて職員室を出た。
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