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初耳5
「食費や生活用品なんかの校内でかかる費用はそれで購入できるから、落としたりしないように気をつけてね。GPSも付いてるけど、それは本人か寮長の許可がないと使えない仕組みになってるからね」
「分かりました」
寮内に入ってエレベーターがあることに驚きながら4階に向かった。
「1階は食堂と講堂。各部屋には簡易キッチンが付いているけど、殆どの生徒は食堂で食べてる。講堂は寮の集会所。イベントがある時はそこな」
エレベーターの中で説明された。
「2階から4階は生徒が入居してる。大浴場は夕方の6時から10時まで」
「風呂って部屋に無いんですか?」
「シャワー室が各部屋に付いてるよ。でも風呂は無いから、冬は必然的に多くなるな」
頷きながら話を聞いているうちに目的の階に到着した。
一番端の角部屋。
言われたとおりに学生証をスライドさせると鍵は開いた。
「桃香君達は朝ここで寮長会をしているから明日にはメンバーに会えるよ」
「はあ」
部屋に入るとそこに下駄箱があり、たぶん俺用に空けられた場所に靴を押し込んだ。
ドアを開けるとすぐにソファーの置かれたリビングがあってその奥に対面式のキッチンがあった。
「すごいですね」
「ここは特別室だからね。他の部屋は寝室兼自室だから一部屋だよ」
寮長と副寮長が一緒に暮らすからだろうけど、豪華な造りに感心した。
「比嘉君の部屋はここ」
言われた部屋はリビングとドア一つで繋がっている。その隣のもう一つドアはきっと桃香先輩の部屋なのだろう。
「桃香君がそっちで、その奥がシャワー室、手前がトイレだから」
頷きながら自分に当てられた部屋のドアを開いた。
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