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初耳6

部屋の中央にはセミダブルのベッド、壁側には本棚と学習机。その横には作り付けのクローゼット。ドアは開け放たれて事前に送った俺の荷物が入ったダンボールが置かれていた。 真新しい制服はそのクローゼットの中に掛けられていた。 「夕食の時に寮生には紹介するって言ってたから、今日はこのままここで荷物の整理をしてていいよ。明日は朝一に職員室に登校して」 「分かりました」 「分からないことがあったらいつでも聞いていいから、内線で電話して」 そう言うと部屋を出て、玄関のドア横の電話機の使い方を説明して柴田さんは出て行った。 自分の部屋に戻ると机の上には真新しい教科書とノートが山と積まれて、その横には書類が詰まれていた。 書類に一通り目を通して、教科書を確認していると時間はあっという間に過ぎていた。 暗くなりつつある室内。 時間を確認すると書類で見た寮の夕飯の時間になっていた。 昼食は来る前に食べてきたけどさすがに腹が減った。 夕飯の時に寮生に紹介するって言われたけど、どうしたらいいのか分からない。 部屋から出るとリビングに明りがついていて、ソファーには桃香先輩が座っていた。 「あの……」 「ああ、お前が比嘉?」 ソファーの向かいにはもう1人座っていて、柔道かレスリングでもしていそうな体格のいい生徒だった。

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