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初耳12
梓先輩は成績が良かったのだろうか。桃香先輩が指名して副寮長をさせるほどだから、成績は悪い方では無いだろう。
「梓先輩? 梓先輩も成績は上位だよ。もちろん園田先輩も。選挙で決まる寮長達は成績上位者で信頼されてる人間がなるんだ」
「へぇ~」
という事は、各寮長を抑えて桃香先輩は1位ってことだ。負け知らずと言われるほどなら、1位を取り続けているってことだろう。
学校自体の成績は悪くは無いはずだ。いくらここがお坊ちゃま学校でも有名大学にコネで入れられるわけが無い。
「そうまでして取り戻したい副寮長ってそんなにすごいんだ」
「すごいっていうか……今は寮長会のメンバーが優秀だから均等が保たれてるけど、桃香先輩が……問題なんだよね」
春は小声になった。回りを見渡してから、「僕の部屋においで」と誘った。部屋に誘う程のことだから、周りには知られたくない話なんだろう。
俺は頷くと食べ終わったトレーを持って春の後に続いた。
春の部屋は俺と同じ4階。だけど、部屋は1部屋でベッドと机と本棚が置かれて、廊下に簡易キッチンとバスルームとトイレが並んでいた。
「ベッド、座って良いよ」
促されてベッドに座った。春は机の椅子を持ってくると向かい合わせにして、小さな冷蔵庫からペットボトルのお茶を出して、1本を俺にくれた。
「さっきの続きだけど、桃香先輩と梓先輩が離れると桃香先輩が壊れるって言われているんだよ。普段からべったりくっついてたから桃香先輩抜け殻になっちゃって、覇気が無いというか……」
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