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難題4

職員室に行き、担任を紹介され、春と一緒に教室に向かった。 授業の進み具合は前の高校とさほど変わらず、分からない所はなかった。 ただ、校内があまりに広く、建て増しされているために複雑な形をしているので、一度行っただけでは移動教室を覚えられそうに無かった。 俺は授業が終わって寮に帰ると、桃香先輩に事あるたびに話しかけた。 しつこく。 だって、その声を聞きたいし、喋ることを再開して欲しかったから。 だけど、3日も経つと参ってしまった。 「だから無理って言ったじゃん」 春は机の椅子をベッドに向けてベッドに座っている俺を笑った。 「中等部の頃からだから筋金入りだよ。今更無理だと思うよ」  春は笑いながら、俺の頑張りを労ってくれた。 「そうかなぁ。せめて挨拶ぐらい返してくれてもいいじゃないか」 「でも、全く無視でもないじゃん」 「無視じゃないけど」 片手を挙げるぐらいの反応。初日の赤ペンで書類を指されるよりは進歩したのだ。 「授業はどうやってるんだよ。英語とか国語とか」 「昔当てられて放課後まで立っていたらしいよ。桃香先輩人気があるから、先生に抗議が殺到して先生の方が根負け」 まあ、あの容姿なら人気があるだろ。それに寮長をほかの先輩を押しのけて数年続けているほどの人望を持っているのだから。 喋ったらあの声だし。 「それでよく生活できてるな」 「外では普通らしいから」 「外?」 「学校以外。買い物の時とか」 「え? そうなんだ」

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