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自覚と嫉妬

それに、『素行』の意味も十分理解できた。 「さっきのが園田だよ。僕のところの寮長」 「恋人……ですか?」  素行という言葉に戸惑いつつ、そういうことをする仲なら、恋人かもしれないと踏んで怖ず怖ずと尋ねる。 「うーん。ちょっと違うかな」 表情が少し曇る。視線を反らせて「園田とは違うから」と付け足した。その言葉に違和感を感じる。 「それって、桃香先輩ですか?」 恋人に望んでいるのは園田先輩じゃなくて、桃香先輩の方なのだろうか。従弟同士で長年同室なら、恋心を持っていても理解できる。 これまで同室だった想い人と離された憎い相手ということかもしれない。 これだけの色気と美貌を持ってしても手に入れない相手は誰なんだろう。 園田先輩とは身体の関係だけってことだろうか。『ちょっと違う』とはどういう意味だろうか。 疑問は次々と浮かんで、胸のむかつきを覚える。 「違う。違う。何か勘違いしてる。園田は僕だけの物にならないってことだよ」  僕だけのも……それって、独占したいってことだろうか。桃香先輩ではなく、園田先輩に恋しているってことだろうか。 それとも園田先輩の『素行』とは特定の恋人を持たないってことだろうか。 「和臣は関係ないよ。俺と園田の問題から」 梓先輩は笑って、「和臣が気になる?」と聞いた。 「いえ、同室なので」 「そう?」 妖艶に笑いかけられてたじろいだ。 「な、何ですか?」 「だって、俺と和臣のこと勘ぐったし。和臣のこと気になるのかと思って」

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