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奪回

俺はイライラしていた。 相変わらす続く回りからの好奇の視線とテスト勉強。 それが『梓先輩』と『桃香先輩』が要因であることに更にイライラを募らせていた。 寮長会がある春は先に教室を出て行っていて、図書室で借りていた本を返却しに行って教室に戻ると俺一人だった。時間を確認すると寮の夕食の時間まで少ししかなかった。 急いで教室からカバンを持って廊下に出ると、「比嘉」と呼び止められた。 振り返ると数人の生徒がそこには立っていて、「ちょっと付き合って」と呼ばれた。  全く知らない生徒だ。学年ごとに色の違う校章があるべき場所を見たが、そこには付けられていなかった。 「いや、俺は帰る」 校章を外している相手の用意周到さに相手にしない方がいいだろうと判断してその生徒達とは反対方向の下駄箱の方へ進んだ。 「ちょっと待てよ。用事があるんだから」 追いかけてきて肩を掴まれた。 「俺は用事は無いし、さっさと帰りたいんだよ」 その肩に置かれた手を振りほどいて俺は下駄箱の方へ進んでいく。 「すぐに済むから。ちょっとこっちに来て欲しいんだよ」 もう1人もやってきて再び肩を掴んだ。 「離せよ」 俺は抗って肩からその手を払いのけ、しつこく肩や腕を掴もうとする生徒と振り返って対峙した。 「こんなところで暴れたら目だってしょうがないだろう。お前が目立てば誰が迷惑を被るかくらい理解できるだろう?」  俺のせいで迷惑を被るのはB寮の寮生だろう。

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