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『待ち時間』
押し倒されたし、先輩がそういう意図を持って俺を押し倒したんであれば……俺、今、危険?
危険っていうか……好きだって言ったし。
いや、先輩からは言われてないけど。
俺は、告白したようなもんだったのに、置いてくし。
バクバクする胸を押えて、キョロキョロと部屋を見回す。何度かため息をつくと、すっかり冷たくなった缶コーヒーを飲み干してキッチンに持って行った。
先輩、ご飯食べてないよね。
備え付けの小さな冷蔵庫を開けるが、水以外は食べ物は何も入ってない。
寮の外出時間は通常8時の点呼までだが、今日から連休中は門限が10時に変更されている。
コンビニ行こうかな。どうせ明日からの食事も必要だし。このままここでモヤモヤ待つより気は楽だし、その間にいろいろ落ち着いて考えることもできる。帰ってくるまでには桃香先輩も帰ってくるだろうし。
部屋から薄手のジャンパーと学生証を取り出すと廊下に出た。
「あれ? 響君。出かけるの? 今から?」
「ちょっと、コンビニに行こうかと思って」
廊下にいたのは春だった。手にはコンビニの袋。きっと今帰ってきたところなのだろう。
だけど、春の部屋はそこじゃない。そこは相良先輩の部屋だ。
「僕は夕飯食べ損なったから、今帰ってきたところ。相良先輩のも頼まれたから」
「そっか」
「ああ。そういえば、寮長会で聞いたよ。桃香先輩は連休中寮に残るって」
「え、あ、そうなんだ」
この4連休中、ずっと2人なんだと改めて実感してしまった。
「響君も残るって言っといたよ」
「えっ誰に?」
「え? 桃香先輩に」
「な、何でっ」
慌てて大声を上げてしまった。
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