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『待ち時間』
そっちに向かいながら話を続ける。
「急に携帯渡されて。今、コンビニに来てるんですけど」
『ああ、そうなんだ。で? 同意なの?』
「何の話ですか?」
さっきから聞かれる同意って何のことだろうか。
『一臣がメールしてきて、『ゴム以外に何が必要か?』って聞くから』
「はぁあ?」
携帯を落としそうになって慌てて耳に当てなおした。
同意? って、ゴムって……。
桃香先輩の隣に立ってその目の前にあるコーナーに俺は息を呑んだ。
『まずは同意かどうかを確かめたほうがいいからと、思ったんだけど。相手は響ちゃんだよね?』
「……俺、ですかね?」
桃香先輩を見るとこっちを見て首を傾げた。
電話の内容が伝わってないのは分かるけど……俺にも何も伝わってないですよ? と首を傾げた。
『一臣に代わって』
言われて俺は桃香先輩に携帯を返した。
「………ああ」
相槌を返して何度か頷くと、携帯を耳から離して俺に近づいた。
近づいて肩に顎を乗せるようにして、「好き」と言った。
すぐに離れて携帯を耳に当てなおし、また相槌を打っている。
俺は言われたことに驚いて呆然と立ち尽くしていた。
今の何?
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