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『声を聞かせて』

唇の端から繰り返される口付け。つつかれて促されるように開いた唇から熱い舌先が入り込み、ざらりと触れた舌をからかう様に擦り、顎の内側を刺激する。  唇を合わせているだけなのに、身体は蕩けてしまいそうに力が抜ける。  「………ひゃ」  突然のことに変な声が上がってしまった。  シャツの上から胸の突起を弾かれたのだ。  ビクンっと震える身体。シャツを擦った手がその下の肌に直接触れてくる。腹からわき腹を擦り上げられて、するりとジャンパーと一緒にシャツを脱がされた。  外気が直接肌に触れる。恥ずかしさに身を捩るも、桃香先輩は肩に顔を埋めるようにしてそこに口付けを施す。くすぐったい様な、慄く様な感覚がそこから広がっていく。繰り返される肌への口付けに鼻から抜けるように声が甘くかすれる。  「ん……」  肌を撫でる手と繰り返される口付けが徐々に快感を伝える。熱くなった身体を持て余して、足掻く。  毎朝、俺のネクタイを結んでくれる器用な指先が、俺のズボンのベルトを外し、ジッパーを降ろすと、下着ごと足から引き抜いた。  起き上がった桃香先輩が自分の服を脱ぎ去る。  引き締まった身体が暗闇に白く浮き上がる。  広い肩幅と引き締まった胸。腕、ウエスト。吸い寄せられるように見惚れてしまう。  「……んっ」  その器用な手が裸の太ももを撫でて、内側の敏感な部分を揉んだ。  肩から鎖骨までを唇が何度も触れて、赤い痕を散らして行く。熱に浮された身体は敏感に反応して、身体を仰け反らせた。  仰け反らせると同時にその先にある桃色の突起を唇で吸い上げられた。  「ああっ」  ひと際甘い声を上げて羞恥に自分の口を両手で覆った。  唇で啄ばみ、舌先で突かれ、吸い上げられる。気持ちいいと身体が蕩けていく。  甘い声は止められず、口を押える手は口から離れて縋るように桃香先輩の髪を掴んだ。  「ぁあっ、やっ」  内腿を撫でていた手が俺のものを掴んだ。ぐにぐにと揉むように刺激されて、胸の突起を吸い上げられる。 

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