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『声を聞かせて』
「そんなに好きか?」
ハスキーな声が聞こえる度に背筋を這い上がってくる何かが俺の身体を蕩けさせる。徐々に広げられて腰が逃げを打つのを押さえ込まれる。
痛みに逃げを打ち、強張る。息をするのもやっとなほどで、涙がこめかみを伝った。
「やめようか」
苦しそうに眉間に皺を寄せて引きそうになる身体に、「待って」と腕を掴んだ。
話すのでさえそこに響く。だけど、今更後には引けないし、ここで引いたらきっと……『今後』なんて無い気がする。
いや、今後がどうってのは、別にどうでもいいんだけど……。
「声……聞かせて。それでいいから」
その声から感じる快感に身を委ねたいから。
「もっと……」
「そのもっとが、俺を求める言葉に代わればいいのに」
かすれた声が耳を擽る。色気の染み込んだその声に耳から蕩けさせられていく。力が抜けると身体を押し広げられる。
「響。全部入った」
告げられることが恥ずかしくて、目を閉じたまま何度も頷いた。中に入っているものは熱くて、そして脈打っている。それを感じて、痛みよりも愛しさが増した。
俺に感じてることに、求められていることに感動する。
硬く閉じていた目を開くとすぐ側に桃香先輩の顔があって俺を見下ろしていた。
眉間に寄せた皺が色っぽくて、その少し辛そうな表情がまた、俺を煽った。
「うっ……あ」
不意に自身を掴まれて、さっきと同じように強弱をつけて上下に擦りあげられた。指先が亀頭の割れ目を擦るように撫で上げられて、ビクビクと腰が揺れた。
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