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『苦渋』
休みの間……4日間ものあいだ…………何も無かった。
いや、俺のイライラは募る一方だった。毎日のように梓先輩はやってきて、俺の前で2人はくっついて喋っていた。
しかも、明日から学校だというのに、今日は泊まると……。
それを梓先輩からでは無く、桃香先輩から聞いた。
2人は常にソファーに座って書類などを捲っている。俺が手伝おうかと言っても、ペンで叩く合図。
さっきも、俺が簡易キッチンからコーヒーを入れて差し出した時に、「梓、泊まるから」と一言だったのだ。
俺はそのまま部屋から出て、昨日帰ってきた春の部屋にやってきたのだ。
いつものようにベッドに座って膝を抱える。春は椅子に座って、お土産の温泉饅頭を自分で食べている。
詳しい事は何も話せないけど、ここにいさせて、泊めてと俺が訴えて、春は「いいよ」と返事をしてくれたのだ。
でもここにはベッドが1つしかないし、明日着ていく制服も無い。
帰らなくてはならないのは明白でも春はいいよと言ってくれたのだ。
もうすぐ点呼の時間だから部屋に帰らなければならない。点呼は部屋にいることの確認なのだから。
梓先輩がどうやって泊まれるような許可を取れたのかはわからない。
連日目の前でいちゃつかれて、その上泊まるとか……俺って何なんだと愚痴りたくもなる。
ただ、やりたかっただけなんじゃないかとも……。
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