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『恋の手ほどき』

「一臣。そろそろいいから」  「んっあっ……」  前を放した手が蕾を撫でた。  「まだ入れちゃダメだよ。なぞってて」  円を掻く様に指先がそこを撫で擦る。空いていた手が俺自身を再び掴んだ。  「ゆっくり入れて。前も擦って」  同時に弄られて仰け反って、梓先輩の後ろの枕を両手で掴んだ。  「一臣、ゆっくり抜き差しして少しずつ奥まで……捻って」  梓先輩に言われながらその指が動く。俺は唇を噛み締めて声を殺しながらその違和感に耐えた。  「響ちゃん、息詰めないで。深呼吸するみたいに」  首を横に振ると片方の足から手を離された。  そして、その指先が前を掴む桃香先輩の手に添えられた。  「っああっ……やぁっ」  ギュッと掴まれて唇が解けた。  「一臣、奥より少し手前に引いて、前側に……無いかな?」  「……んっああっ……やめっああああっ」  押されたそこから前に突き抜けるような快感が押し寄せて、声が上がった。ギュッと前を掴まれていたから放ちはしなかったけど、それぐらいの快感が押し寄せる。  「そこが前立腺ね」  指先がそこを擦る度に電流が流れるように身体が跳ね上がる。  「指、そろそろ増やして」  中から抜けていく指が今度は増えて入ってくる。  抗っても解けないし、梓先輩は離した足の代わりに俺の胸を触りだした。  前後から刺激されて、更に胸まで弄られる。どこから快感かが生まれているのか分からなくなる。  息は荒くなって、声は甘く変わる。  「そのままそこを掠めて刺激し続けて」  中に入った指がさっき見つけられた場所を時折掠める。 

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