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『わがままな情緒』
途端に仰向けに押さえつけられて、そのまま上からギュッと抱き締められた。
「やばい」
耳元で一言。
何?
ギュウギュウと強く抱き締められる。重みも加わるから徐々に苦しくなってくる。
「ちょ、っちょっと、先輩。苦しい」
その肩を叩くと、「ああ」と言って緩めた。
「お前……最悪」
両腕を俺の顔の両側に付いて見下ろしながらそう言った。
「最悪って……何?」
梓先輩が帰ったから?
俺が嫌がったから?
そんなに3人……梓先輩がいいとか……。
片方の手が俺の頬を撫でる。
「俺も、最低だけど」
言いながらチュッと音を立てて口付けられた。
「むちゃくちゃやりたい」
「え……」
「押さえ……利かなくてもいい?」
擦れた声は普段よりも低い。その声がゾクゾクと俺を溶かす。
「あの……えっと……」
「寂しいなんて言えないほど……かまっていいってことだろ?」
「……それは……」
「響」
名前を呼びながら再び口付けられる。唇を離さずに何度も音を立てて口付けて、頬に添えていた手はいつの間にか俺の太ももを撫でている。
「ストッパーはいないからな」
「か、かまってとか……こんなことじゃなくて……俺は別に……」
「何?」
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