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『わがままな情緒』

「俺は……かまって欲しいとかじゃなくて……梓先輩とばっかり……一緒に……いるから」  「あいつはストッパー」  「ストッパー?」  「襲わない自信が無いから」  「………俺を?」  「他にいないだろ」  「そんなに?」  「風呂上りとか……寝起きとか……寝巻き姿とか………最強」  口付けを繰り返しながら喋る。その声が益々俺を溶かすから、俺は堪らなくなって両腕をその肩に回した。  「俺……待ってた……」  その手が俺に伸ばされるのを。その声を聞かせてくれるのも。  俺を見つめるのも。  なのに、それは俺じゃないものにばかり向けられていた。  「だから………ストッパーなんて……必要なかったのに」  「響」  「……ん……あ」  すでに溶かされたところに再び指が入り込んでくる。  さっき見つけられた感じるところを擦られて仰け反った。  途端に上がる嬌声に、「お前の声もいいよ」と擦れた声が囁く。  「しゃべんなっ」  言い返すけど、桃香先輩は意地悪く笑って子どもが口にチャックをする仕草を真似た。  そのまま起き上がって、着ていたシャツを脱ぎ捨てた。  再び指が中に入ってきて、足されたローションが水音を立てる。  「う…ぁわあっ……」  探られるそこから前に抜ける快感が腰を溶けさせて、全身が熱くなる。 

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