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track1.オラネコなオッサンに喰われました

 爽やかイケメンアイドルデュオ『Mal Enfant』が結成される一年前。  夜の街にあるイケメンヤンキーと名高い二人の姿があった。  翼と駿斗(しゅんと)である。  我が儘で傲慢、喧嘩っ早い性格ながら、甘いマスクに高身長、程よくついた筋肉のおかげで、二人の周りには様々な女性が集まってきた。それを据え膳とばかりに、二人は片っ端から食い散らかしてきたのである。  運命のその日――。  彼らは苛立ちを隠しもせずに、夜の街を徘徊していた。 「くっそ、開店だってのに全然玉出ねぇし!」 「あの店おかしいんじゃねーの?」  彼らはつい今し方、パチンコで有り金全部すってしまったばかり。全く勝てなかったことに苛立っていた。 「ったく、このままじゃ飯も食えねぇじゃねーか」 「……どっかで調達しねぇとな」  二人が周囲を見渡すと、一人のサラリーマンが駅に向かって歩いて行くのが見えた。  彼らよりもかなり小柄で、喧嘩なんてしたこともなさそうなヒョロ男である。 「アレなんてどうだ?」 「いぃねぇ」  ニヤリと下衆な笑みを浮かべながら二人はサラリーマンに近付き、彼を強引に裏路地へと連れて行った。 「というわけで俺ら今、金ないんだよねー」 「だからさ、ちょこーっと金貸してくんない?」 「もちろん返さねぇけどな」  ギャハハと笑う二人とは対照的に、サラリーマンは顔を真っ青にしてガクガク震えるばかり。  それでもなんとか勇気を振り絞り 「お、おおお金なんてあり、ありません」  と言うと、溢れんばかりの殺気が彼を襲った。 「ひぃぃっ!!」  翼と駿斗の迫力に押されたサラリーマンは、情けない悲鳴を上げてその場に(うずくま)る。 「持ってねぇわけねーだろ」 「いいからとっとと、有り金出せよ」  サラリーマンを蹴り上げる翼。  哀れサラリーマンは蹴られた衝撃で壁に叩きつけられてしまった。 「痛ぁっ……」  蹴られた肩を手で押さえながら、ベショベショと泣き出すサラリーマン。日ごろ暴力とは無縁の世界に生きてきた彼にとって、翼と駿斗はまさに鬼そのもの。  すっかり戦意喪失のサラリーマンそを見て、再びニヤリと笑う二人。  こういったタイプは自分たちに刃向かってこないし、やり返そうとしてきたところで翼と駿斗に勝てるはずがない。  自分たちより腕っ節の弱そうな相手だけをターゲットに選ぶ。  それが二人のやり方だった。  この二人、相当の下衆、屑中の屑である。 「おら、とっとと財布よこせ」 「そうそう。そうしたらもう、痛いことはしねぇからよ」  サラリーマンが震える手で鞄から財布を取ろうとしたそのとき。 「カツアゲなんてカッコ悪ぃことやってんじゃねーぞ」  裏路地に、ドスの効いた低温ヴォイスが響いた。  バッと振り返った先に、巨体の男が立っている。ネオンを背にしているせいで、顔はよくわからない。しかしその雰囲気から、この男がただ者でないことだけはハッキリとわかった。 「うっ、っせぇな!」  精一杯の気力を振り絞り、駿斗が吠える。  それに背中を押されたかのように、翼も男に怒鳴りつけた。 「ジジイは引っ込んでろ!!」  しかし男は怯まない。 「悪ぃが目の前で犯罪行為が行われてるのを見過ごすほど、落ちぶれちゃいねぇんだよ」  ニヤリ、と男が笑った……気がした。  刹那、周囲の空気がガラリと変わる。  翼と駿斗の全身に、ブワリと鳥肌が立った。  本能が危険を察知する。  言いようもない恐怖感に襲われたと思った瞬間。  翼の体が真横に吹っ飛んだ。 「……っ!?」  何が起こったのか。  駿斗はもちろん、当の翼本人にも皆目見当が付かなかった。  殺気と呼ぶのも生優しいと思えるほどの空気に、タラリと冷や汗が流れる。  ゴクリ、と息を飲んで目線を動かした先に、鬼がいた。 「ヒッ!」  鬼の雰囲気に腰を抜かした駿斗は、その場に尻餅を付いてしまった。  逃げたい……そう思うのに、足が震えて這いずることもできない。  翼に助けを求めようとするも、どうやら彼は気を失っているらしく、ピクリとも動かなかった。 「オニイチャン」  鬼がサラリーマンの腕を取って、立ち上がるのをサポートしている。 「エラい目にあったな。こいつらは俺がしとくから、気ぃ付けて帰るんだぞ」 「はっ、はひっ! ああああありがとうござごございます!」  サラリーマンは鬼に何度も頭を下げると、逃げるように走り去っていった。  裏路地に、再び沈黙が降りる。 「さぁて」  鬼がゆっくりと振り返り、駿斗をヒタリと見つめた。 「……っ!!」  もはや涙目。  犯罪行為も気にしない、女食いまくり捨てまくり、人を人とも思わないカスの頂点を極めかけた駿斗の姿はそこになかった。 「オニイチャンら。悪いことしたらどうなるか知ってっか?」 「け、警察に突き出すつもりかよ」  震え声でそう尋ねると、鬼はフハッと鼻で嗤った。 「恐喝は未遂だろ。俺が止めたからな。被害者がいないんじゃ、警察だって動けねぇ」 「じゃ、じゃあ」 「ただし。お前らみたいな社会の屑は、少ぉしばかりお仕置きが必要だよな」  ジリッ……と駿斗に歩み寄る鬼。  嫌な予感がする。否、嫌な予感しかしない。 「な、なんだよ! 殴るってのかよ!!」 「いや。痛いことはしねぇし、天国を見せてやるよ」  鬼は駿斗の目の前までやって来ると、おもむろにデニムのパンツに手をかけた。 「なっ!?」  下着ごとずり下ろされて、駿斗の下半身が露わになる。 「っにすんだこのジジイ!!」  怒りに我とを忘れた駿斗が、鬼に向かって大声で吠える。  先ほど味わった恐怖も、頭からすっかり抜け落ちているようだ。 「何って、ナニだよ」  鬼は下半身を露出させたままヘタリ込む駿斗を押さえつけると、股間のイチモツをムンズと掴んだ。 「随分小せぇチンポだな。あんまり使い込んでねぇのか?」 「なっ……!」  毎日のように女を食い散らかしている駿斗である。 「駿斗くんの、太くて気持ちいいー」と言われることはあっても、小さいなどと言われたのは生まれて初めてだ。 「うるせぇ、男相手に勃つわけねーだろ!」  平常時はこんなもんだとギャーギャー騒ぐ駿斗を尻目に、鬼はクフリと嗤って 「本当に、男相手に勃起しないか試してみっか?」  そう言うと、駿斗のイチモツに食らいついた。 「はぁぁっ!?」  肉厚の舌が、駿斗の竿をベロリと舐めた。  一見粗雑な動きながらも、男のイイトコロを的確に刺激するフェラチオに、駿斗の腰がビクリと跳ねる。 ――なんだこのオッサン、すげぇ上手い……!  全体に舌が這っただけ……ただそれだけなのに、なぜこんなにも快感が迫り上がってくるのか。  今まで舐めさせた何十何百の女に比べて、その絶技はピカイチだったのである。 「うっ」  駿斗が小さな吐息を漏らすと、鬼はフッと嗤って尿道やカリ首をねっとりと嘗め回し始めた。  ザラザラの舌に刺激され、駿斗の鈴口から先走りの汁がダラダラと溢れてくる。  亀頭ごとそれをジュウッと吸い込まれ、駿斗の腰がガクガクと震えた。 ――食われる!  それは恐怖だった。  急所に食らいつかれ、物凄い吸引力でジュルジュルと吸われているのだ。  このまま噛み千切られてもおかしくない……駿斗は本気でそう考えた。  しかし鬼は駿斗のイチモツを噛むどころか、根元まで一気に飲み込んだのだ。  一瞬にして消え去るイチモツ。まるで射精を促すかのように口全体で駿斗をギュウギュウに締め上げ、高みに登らせようとしている。 「ぅあっ、うぐぅ……」  このままではイカされてしまう。 ――こんなオッサンに? ぜってぇあり得ねぇ!!  駿斗は拳をグッと握りしめて快感を逃そうと必死になったが、それを許すような鬼ではない。  激しいストロークが駿斗のイチモツを襲う。  ジュブジュブジュボブボッ。  激しい水音が裏路地に響く。  今まで聞いたことのないような力強いその音に、駿斗の快感がさらに増していく。 「あっ、も、やめろぉっ……」  しかし背は弓なりに反り、いつしか両手は鬼の頭をしっかりと掴んで離さない。  男にイカされるなんて屈辱……そう思う心とは裏腹に、体は鬼の(もたら)す快楽を素直に享受している。 「あっ、ひいっ、出るっっ!!」  パンパンに張り詰めたイチモツがさらに堅さを増す。  我慢しきれなくなった駿斗は鬼の動きに合わせて、自らも腰を動かし始めた。 「はっ、んうぅっ…………あぁっ!」  内ももがガクガクと震え、射精感がこみ上げる。ブワリと膨れ上がった瞬間。  駿斗の鈴口から、勢いよくザーメンが吹き上がった。 「うぅっ……あぁぁっ……」  なおもガクガクと小刻みに揺れる腰。  鬼の口の中に最後の一滴まで出し切ってしまった。まさか男でイクだなんて……しかもこんな、鬼のようなオッサンに翻弄されるなんて……一瞬の快楽が過ぎ去った後、駿斗の胸に絶望がジワジワとこみ上げる。  チュポンと音を立て、鬼の口が駿斗のイチモツから離れた。  たっぷりとザーメンを吐き出したイチモツは、満足しきったようにちんまりと萎れている。ネオンに照らされて、テラテラ光っているのがやけに艶めかしく見えた。  ゴクリ、ゴクリ。  目の前で、口の中のザーメンを飲み込む鬼の姿に、 駿斗の腰がズクリと疼いた。 「さぁて、次はあのニイチャンの番だな」  涎と精液で汚れた口元を袖でグイッと粗雑に拭くと、鬼は未だ気を失ったままの翼に視線を移した。

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