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始まりは突然に⑤/余裕なくて恥ずかしい

 初めて一夜を共にした日、俺は蓮二さんを抱くことはしなかった──  それでもホテルの寝衣を纏っただけの姿で、お互い抱き合うようにして寄り添いベッドに横になればそれなりにムラムラしてしまうわけで……気が付けば夢中でキスを交わし、俺は蓮二さんに体を弄られていた。 「今日はしない……けど、気持ちのいいことは好き、だろ?」  蓮二さんは俺の首筋に顔を埋めながらそんなことを囁いてくる。  二人きりになった途端、蓮二さんのペースに流されっぱなしでちょっと悔しい気もするけど、欲情しきった表情の蓮二さんがエッチで格好良すぎて、やっぱり全てを委ねてしまいそうになる。ほんと怖い…… 「蓮二さんって結構スケベなんだね。知らなかった」 「いや、ずっと智に触れたいの我慢してたから……」 「へへ、俺と一緒だ」  モゾモゾと互いの手が勃起したそこに触れる。緩々と優しく弄られながらキスをして、どんどん感情が昂っていくのが分かる。蓮二さんとこんなことをしているなんて未だに信じ難いけど、「智……」と名前を呼ばれ見つめられれば現実なのだと実感した。  いつの間にやら俺は蓮二さんに寝衣を脱がされ、胸やら腹にまでキスをされる。やたらと俺の腹を撫で回すから少し擽ったかった。 「鍛えてるのか? スポーツでも?」  そう言って「凄くいい体だ」と俺の体を褒めてくれる。そんな言うほど逞しくもなくどうって事ない体なのに、蓮二さんに褒められたら自分が凄くいい男になった気がして少々浮かれた。  全く、褒め上手な蓮二さんも油断ならない。蓮二さんだって肌が白くて引き締まったいい体だ。俺が触れて興奮してるのか、その白い肌が汗ばんでほんのり桃色に染まっていくのが凄くエロい……猛烈にエロい。でもこれ言ったら何だか怒られそうだったから俺は下手なことは言わない。  てか蓮二さんの愛撫に思考が蕩けておかしくなる。気持ちいいのと擽ったいのでさっきから信じられないくらい俺、喘いじゃってるしさ。もう全然余裕なくて恥ずかしい。 「ねえ、蓮二さん……ふふ、擽ったい。そんなチュッチュしないでよ」 「智、可愛い」 「あっ、そこは反則……」  蓮二さんは緩々と俺を手で扱きながら、そのまま先端に口をつけた。 「やっ! ちょっと? 蓮二さん……あぁ、待って、あっ……気持ちい……」  蓮二さんにチラチラと見られながら口淫される。あまりの気持ちよさに一気に熱が込み上げてくる。俺が快感を堪えることができずにみっともなく悶えれば悶えるほど蓮二さんの行為は激しくなった。嬉しそうに「気持ちいいか?」なんて聞いてくるから、もう俺はそんな蓮二さんの顔を見てるだけでイッてしまいそうだった。 「智、可愛い。イケそう? 気持ちいい?」 「あ……ダメ、あっ、そんなにしないで……あ、やべ……ほんとにイッちゃう、や……蓮二さん。イッちゃう……」  結局俺は蓮二さんに見守られ、呆気なく吐精した。  早すぎて自分でもびっくり。力が抜けて腑抜け状態の俺を見て物凄く満足そうな蓮二さんだけど、俺だってやられっぱなしじゃ情けない。一発出してスッキリしたけどまだまだこんなんじゃ物足りない。蓮二さんの気持ちいい顔だって見てないし。そう思ってキスをしながら、お返しとばかりに俺も蓮二さんの滾ったそこに顔を寄せた。 「あ、俺はいいから。可愛い智が見られてもう満足……ほら、おいで」 「え?」  蓮二さんは俺を強引に抱き寄せると「俺はいいから」ともう一度言い、すっかりリラックスした様子で目を瞑ってしまった。 「嘘だろ? 俺ばっかイかされて終わり? やだ、蓮二さんもイッてよ、ずるいよ」 「はは、ずるいって……いやほんと、俺はいいから……今度智が抱いてくれた時にたっぷり可愛がってくれ」  眠かったのかな? 少し笑ってそう言った蓮二さんはすぐにそのまま眠ってしまった。  は? 待って? 嘘だろ? たっぷり可愛がってくれ……なんて、そんなエッチなこと言われちゃったら興奮するじゃん。  マジで蓮二さん油断ならない。こんなの俺、絶対寝られない。  俺を抱えてスヤスヤ眠る蓮二さんの寝顔を眺めながら、俺はなかなか鎮まらない自分のムスコを慰めつつ、記念すべき最初のお泊まりは悶々と眠れない一夜を過ごすことになった──

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