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それぞれの「初めて」⑤/智のリードで……
これ以上待てないと俺の方から智を誘ってしまった。
酔いの勢いもあったのだと思う。自分から部屋に誘ったくせに、緊張して何も言えない。部屋に入った途端に智に捕まえられ抱きしめられたけど、俺でもわかるくらい智の腕は震えていた。
智まで緊張してるなんて聞いてない……
今夜は智に全て任せ、委ねるつもりでいた。だってそうじゃなきゃ初めての俺はどうしたらいいのかわからない。でも、ある程度は予習はしてある。ここだけの話、智を受け入れるために俺は何度も準備をしていた。そう、本番でみっともなくヘマをしないため。
「ほんと、ごめんね。俺がこんなんじゃ蓮二さん嫌だよね?」
「ううん、大丈夫。シャワー行ってくるから……それに俺もドキドキしてるよ」
ドキドキしているのは嘘じゃない。それでも何でもない風を装って俺は逃げるようにバスルームに向かった。
きっと智はたくさん経験があるのだろう。それなのに、俺に対しては緊張してドキドキしてしょうがないんだと手に汗かいて、照れ臭そうに教えてくれた。これは喜ばしいことなのだろうけど、余裕のない俺の内心は複雑だった。
前に一晩共にした時だって、初めてのあの日だって、お互い裸を晒して弄り合ったはずなのに何でこんなに動揺してしまうのだろう──
「蓮二さん……いい?」
「今更聞くな」
恐る恐る智の手が体に触れる。そのまま押し倒され、智の体重が俺の体にずしりとかかった。シャワーを浴びた後の少し湿った体が熱を帯び、気持ちの良い圧迫感に堪らなくなる。俺はギュッと智の背に手を回しキスを強請った。
優しくしたい、と言っていた通り、智はこちらが恥ずかしくなるくらい念入りに俺の体を弄った。「好きだ」「愛してる」「幸せ」と、俺の耳元で何度も囁き、その度に触れる吐息にすら俺は情けなく感じてしまい体が震えた。お互いに滾ったそこに触れながら、合わさる肌の気持ちよさにボーッとしていたら智の指先が俺の後孔にそっと触れた。
「あっ……」
「大丈夫、足、開いて?」
智に抱きしめられているから自分の下半身が見えない。でも智の手は股の間からヌルリと尻の間に割り込んでくる。
「ちょっと腰、浮かせてね」
「………… 」
俺は言われるがまま素直に従う。つぷりと侵入してきた指先にドクンと胸が高鳴った。
「少しづつ……ね? 蓮二さん、痛くない? 大丈夫?」
そう言いながら智は俺にキスを落とすとそのまま下半身に顔を寄せ、緩りと俺の滾りに手を添える。あっ、と思った時にはもう俺は智に咥えこまれてしまっていた。
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