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言いたいこと、伝えたいこと②/ごめんね
「ねえ? 不安になるって、それってむしろ俺じゃない? 俺は普段からちゃんと気持ちを表に出してたじゃん。蓮二さんの方こそ何考えてるのか分からねえじゃん」
俺だって不安でいっぱいだったんだ。
蓮二さんはずっと前から俺のことを「素直」だと言ってくれていた。そう、俺は思ったままにいつだって蓮二さんに「好き」と言う感情を隠さずに出していた。俺が蓮二さんに「好き?」と問えば何回かに一回くらいは素直に「好きだ」と答えてくれるけど、蓮二さんから俺に対しての愛情表現なんて記憶にある限りほとんど無い。
そりゃ言わずもがな蓮二さんが俺のことを愛してくれていることくらいわかってる。口下手、恥ずかしがり屋……わかってるけど、たまには俺だってちゃんと言葉にして聞いてみたいと思ったっていいだろう? 不安になることもあるって蓮二さんにわかってもらいたい。
喧嘩をぶり返すつもりはない。ただ俺の気持ちを伝えたかったんだ。なんなら蓮二さんだって俺に隠さず言いたいことは言えばいい。
初めこそ、すれ違いで喧嘩もいっぱいした。言葉足らずで不安にさせたり不安になったり。ほんとに些細な喧嘩。その度に、少しづつお互いの信頼関係を築いてきたと思う。
「俺、蓮二さんからの愛情がわからない」
嘘──
ちゃんとわかってる。多く語る人じゃないのもちゃんとわかってる。こんなこと言いたいわけじゃないのに、試すようなことを俺は蓮二さんに言っている。意地悪なことを言っている自覚もある。でも俺は悲しそうな蓮二さんの顔を見たかったわけじゃない。
「なんでも俺が察してやると思ってんなよ……俺の愛に甘えるなよ」
なんだよ。言い返せよ……
俺、蓮二さんに酷いこと言ってるってわかってるよ。こんなの全部込みで俺は蓮二さんのことが好きなのに。自分で言いながら、俺はバカみたいに悲しくなってしまい、顔が上げられなくなってしまった。
「智? 智、うん、智の言う通りだ。ごめんな。智は優しいからさ、俺、ずっと甘えてたな。不安にさせた」
俺が振り払ってしまった手。でももう一度蓮二さんは握ってくれた。その手をゆっくりと撫でながら、俺の顔を覗き込む。
「智に泣かれると……辛い」
いつの間にか溢れていた涙を拭い蓮二さんは優しい顔で俺の頬にキスをしてくれた。
「蓮二さん……ごめんね。俺、蓮二さんが俺のこと大事に思ってくれてるってちゃんとわかってるよ。甘えてるのは俺の方……」
「智? 俺もちゃんとわかってる。大好きだよ。信じてくれるよな? 智がいないと俺、生きていけないから」
「なんだよそれ、大袈裟だな。あ、でも蓮二さんも大概ポンコツだよね。俺がいない間、全然大丈夫じゃなかったでしょ」
部屋の荒れ具合もそう、蓮二さん自身もなんだかちょっと痩せちゃって、ろくなもん食ってないってすぐにわかった。俺がいないと生きていけないって、あながち間違ってないと思う。この人は俺がいなかったら痩せこけて病気にでもなっちゃいそうだなって、そう思ったらおかしくなっちゃって、泣きながら笑ってしまった。
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