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二人の「これから」①/デート
「実はさ、今日俺休みもらったんだ。ほら、最近忙しかったろ? 休んでなかった分、代休取れって無理やり取らされた。昨日だったら蓮二さんの休みと一緒だったのにさ。美典じゃなくて俺とデートできたのに……」
俺が美典と食事に行ったことをまだ根に持っているみたいで智は口を尖らせる。でも、急な智の休みに俺の心はちょっと浮かれた。とはいえ、俺はいつも通り出勤なのだが、「今日は残業しないで早く帰れる?」と嬉しそうな智に聞かれれば、即答で「うん」と返事をし、久々に二人で外食をするのを楽しみにしながら俺は仕事に向かった。
休憩時間に智からメッセージが入っているのに気がついた。見てみると、それは待ち合わせの指示。たまたま横にいた慎太郎に「滝島さんがニヤけてるの珍しいっすね」なんて言われ、からかわれた。
普段ならこういう時は家に帰って、何となく支度をして、ぼちぼち出るか〜と、近所のコンビニに行くのも遊びに出るのも、気持ち的に何も変わらない。智との付き合い始めは、いちいちドキドキしたり照れ臭くなったりしていたはずなのに、その時の気持ちは長い付き合いの中で小さくなってしまったらしい。少し寂しいな、と思う反面、智の前では気を張ったり飾らなくても大丈夫だと安心できている自分にも気がつき、自然に笑みがこぼれた。今日の「デート」はそんないつもとは気分が違い、早く約束の時間にならないかワクワクしながら俺は一日仕事をこなした。
今日は智とデートだ──
「智……?」
「へへ、蓮二さん驚かそうと思ってさ、てか髪を切っただけだけど……どう? ちょっとイメチェンしてみた」
待ち合わせの場所に少し遅れてきた智は、俺に向かって照れ臭そうにはにかんだ。少し伸びていた髪をスッキリと短くし、格好良くセットしている。見ると髪の色まで今までの明るい色から落ち着いた色に変わっていた。黒髪に近いブラウンは、何もしていない俺の髪色と近い。元々智がいい男なのはわかっていたけど、更に大人の色気のようなものが増したように感じ、見つめられるとドキドキしてしまう。俺を驚かそうとしてイメチェンしたと言う智も、俺に対して緊張しているのが見てとれるから尚更だった。
「うん、似合ってる。びっくりした……益々かっこよくなってて見惚れた」
改めて智を見てときめいている自分に正直に言葉を伝える。
「は? 嘘でしょ! 俺の方がびっくりだよ! 蓮二さん、急にそうやって可愛いこと言うのやめて、恥ずい!」
逆に智の方が俺の言葉に照れまくり真っ赤になっている。いやいや、「かっこいい」って褒めただけなんだけど。普段あまりこういうことを口に出して言ってこなかったから、智にとっては衝撃が大きいらしい。両手で顔を覆うようにして照れている様子を見て、やっぱりいつもの智だと思い笑ってしまった。
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