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地味な俺と不良高校最強のド直球男の告白②
次の日、学校に行くと校門にガラの悪い集団が立っていた。藤ヶ丘の制服を着ている。派手な格好の生徒はいるが基本的に良い子が多い日向高校の生徒にとっては滅多にないことである。誰か喧嘩をふっかけるような真似をしたのだろうか。なるべく不良連中と目を合わせないようにして俺は教室に入っていった。
教室に行くと何やら騒がしい。生徒達がヒソヒソと話している。
「校門にいる藤ヶ丘の人なんなのかな?誰か喧嘩でもしたの?」
「私、話かけられたけど怖かった~。人探してるみたいだったけど。」
「でも、イケメンじゃなかった?」
「分かる。顔はかなり良かった。でも藤ヶ丘だからなぁ。」
この情報社会で、学校に乗り込んで人探しとはなかなか古典的な手段である。そこまでして会いたい人がいるのだろうか。一目ぼれでもしたんだとしたら大層ロマンチックなことだ。
「あんた何したの?」今日も化粧ばっちりの佐々木さんが声をかけてくる。
「俺は何かしたのでしょうか?」
「あの藤ヶ丘の連中が佐藤誠を探してたんだけど。」
佐藤誠とは俺の名前である。しかし、俺に藤ヶ丘の友達なんていない。この学校にも友達はいないが。
「人違いじゃないですか?サトウマコトなんてどこにでもいる名前だし。」
「黒のロングの黒髪に、黒のタイツって昨日私があんたにさせた格好そのままだったんだけど。この時期にタイツはいてる女子なんてまだそうそういないわよ。」佐々木さんが続け様に言う。
俺はおそるおそる聞いた。
「ちなみに探してる奴ってどんな奴でした?」
「黒髪にオールバックでカチューシャつけてた。まあまあイケメン。桐生蓮って言ってたけど。」
俺は冷や汗をかくのを感じた。いや何で
。傷口の処置が悪くていちゃもんでもつけにきたのだろうか。いや、絶対止血しないよりはましだっただろう。まるで心あたりがない。知らないうちになにか気に入らないことをしてしまったのだろうか。
俺の反応から何かあると感づいたのか佐々木さんが続けた。
「ちなみにそれ女装した男なら知ってますって言っておいたんだけど。写メみせて。」ご丁寧に佐々木さんが昨日の俺の女装した写真を見せてくるがそれどころじゃない。
「なんで!言ったんですか!」俺は他人にこんな大声を出したことがあっただろうか。
クラス一のギャルとクラス一の地味な男の言い合いはいつの間にか注目を浴びているようだった。一瞬しんと教室がなった後、
「今から授業あるから昼休みにまた来てって言っておいた。」
佐々木さんが俺の肩を叩きながら言った。
佐々木さんは俺より10㎝は背が高い。ギャルの佐々木さんは見た目こそ派手であるが、授業態度は至極真面目だ。そしてなかなか他人の面倒見が良い。その面倒見の良さは他校の不良高校生にも発揮されたらしい。
俺は佐々木さんに気づかれないように溜息をついた。
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