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地味な俺と不良高校の生徒会と貞操の危機①

次に、藤ヶ丘高校を訪れたのは1週間後だった。 俺は気軽に行っていいのか迷っていたが、蓮さんからそろそろ来いとお誘いがあったため、また日曜日に行くことにした。平日に行く勇気はまだない。不良高校生がたくさんいるから。しかし、蓮さん達はいつも日曜日にもいるけど随分勉強熱心というか学校が好きというか。生徒会はそんなに忙しいのだろうか。 校門では律樹さんが出迎えてくれたが、周りの目線が刺さる。 「あれが、律樹さんとこの弟?」 「地味じゃね?」 「全然似てねぇな。」 「隠し子っていってたぞ。だから、似てないんじゃね?」 「しかし、律樹さんの弟って聞くと絶世の美少年期待しちまったのに。」 「とんだ期待外れ。」 などと声が聞こえる。 俺はいつから、律樹さんの弟になったのだ。勝手に期待されて勝手に落胆されている。 「誠君。まってたよ。誠君と会ったなんて知られたら父に怒られるからね。苦労かけてすまないね。」律樹さんが意味深なことを言い出す。 これはノったほうが良いのだろうか。 「大丈夫ですよ。迎えにきてくれてありがとうございます。律樹さん。」 「ここは父も母もいないから、お兄ちゃんって呼んでもいいんだよ。」律樹さんが優しく言うがその目は言う通りにしろと言っている。 「ありがとう・・・ございます。・・・・お兄ちゃん。」俺はとても棒読みである。 なんなのだこれは。 しかし、律樹さんは大変満足した様子で俺を連れて歩く。 「さっきのはなんだったんですか?」俺は生徒会室についてから、律樹さんに聞いた。生徒会室には誰もいなかった。 「ああ、さっきの。誠君は僕の弟ってことになってるから。腹違いの兄弟で、親に存在を消されて養子にだされてるんだ。最近そのことを僕が知って、家になんて当然招くことができないから、学校に呼び出してしばしの逢瀬を楽しんでいるっていう設定。」 「なかなか複雑ですね。」 「複雑なほうがいいんだよ。みんな突っ込んで聞かないし。この学校の子達はみんな馬鹿だから。あっさり信じてくれたよ。」律樹さんはなんでもなさそうに言う。 よく自分の通っている学校の生徒を馬鹿って言えるな。律樹さんは頭良さそうではあるが。 「律樹さんって頭良いんですか?」 「全国レベルで30位以内はキープしてるよ。」 「めちゃくちゃ頭良いじゃないですか!」 なんでこんな学校に? 「どうして頭が良い僕がこんな馬鹿高校にいるか知りたい?」心を読まれていたようだ。 ニコニコしながら律樹さんが聞いてくる。 「はい。気にはなります。」 俺がそう言ったとたん近くのソファに押し倒された。 律樹さんが馬乗りになる。流れるような動作に俺が呆気にとられていると、そのまま俺のブレザーの制服のボタンを外していく。そんな仕草まで上品である。なんて感心してる場合ではない。 「何をする気ですか?」 「何って分からない?」律樹さんは大変蠱惑的な声で俺の耳元で囁いてから、俺の股間に手を当てる。 倉庫のドアが開く音がした。新さんだ。 律樹さんはちらっと新さんを横目でみるが、俺の股間を触り続ける。辞める気はなさそうである。 どうしたもんか。 そして、律樹さんは俺の耳を舌で舐める。息遣いが少し荒い。 「俺がいるの気づいてんだろ。そのまま続ける気ならここからでていけ。」 「いいとこだったのに。新君がでていけばいいじゃん。それとも、新君がヤラせてくれる?」 律樹さんがようやく手をとめて、口をとがらせて言う。 「なんで俺がでていかなきゃいけないんだ。もうすぐ、悠斗と蓮も帰って来るんだぞ。そんな中セックスする気か。セックスするなら違うところでヤれ。」 「みんなでヤれば良いじゃん。乱交しよ。蓮君も誠君とセックスできて喜ぶよ。」 「んなわけあるか。俺達をお前みたいな年中発情期と一緒にすんな。生徒会室ではセックス禁止って連にも言われてるだろ。よそいけ。よそ。」 「新君のケチ。じゃあ、誠君行こうか?」俺はぶんぶんと首をふる。 「誠君僕とヤりたくないの?この僕とえっちなことできるんだよ?」律樹さんが心底驚いたように言うがなんて反応するのが正解なんだろうか。 確かに律樹さんは顔が綺麗だし、高校生とは思えないほどの色気はあるがそれとこれとは話は別なような。俺が黙っていると、 「信じられない。誠君性欲あるの。この学校の子達なんか僕を見ると向こうから襲ってくるくらいなのに。」などとのたまっている。 信じられないのはこっちである。 「えっと、頭の良い律樹さんがなんで藤ヶ丘高校に行ったかっていう話を俺達してましたよね?」俺は話を元に戻す。 ついでに新さんのほうへ逃げ出す。新さんは顔をしかめたが、離れろとは言わなかった。 「決まっているじゃないか。ゲテモノが食べたかったからだよ。」 「はい?」 「僕は今まで、お金持ちで頭の良い子達があつまる学校に行ってたんだけど、それじゃつまらなくてね。お金持ちの品行方正な坊ちゃんにはあきあきしたし、なんだかんだ頭が良いというか親に言われたことしかしないから警戒心が強い子が多くてね。中学でそれに気づいて、高校は馬鹿が多くて、体力があって、性欲に従順で、女の子との出会いもなくて性欲を燻ぶらせているような愚かな生徒がたくさんいるところにしようと決意したんだよ。読み通り。今のところ最高。しかも、馬鹿で不細工なヤンキーしかいないと思っていたのにこんな上玉も隠れていたんだからね。」 律樹さんが目を輝かせてて新さんを見る。新さんは目をそらす。 「そいつは筋金入りの変態だからな。理解しようと思わねぇほうがいいぞチビ。」 呆れたように新さんが言う。 理解するほうが難しい。 そんな理由で高校決めることってあるのか。 「よくそんな理由で親が許してくれましたね。」 「いやいや僕の親はいろいろな学校の経営に関係しているからね。僕はこれでもいいとこの御曹司なんでね。親は自分が経営している、お金持ちで頭の良い子達が通っている近所でも評判な名門校に行かせたかったみたいだから大変だったよ。こんな偏差値も評判も低い高校に入る許可とるの。」 そりゃあ、ますます大変だろうな。 しかし、どうやって許可を取ったんだろうか。 「そんな馬鹿正直には言ってないよ。親の経営している高校の評判が悪いことに心を痛めています。僕が卒業するまではこの藤ヶ丘高校を品行方正な高校にしてみせますって言ってあるから。」 「よくそんなウソを親が信じましたね。」 「まあ、信じたというか試されてるんじゃない。僕、結果ださなかったら親の言う通りの高校に転校って言われてるし。」 「えっ。」平然と言う律樹さんに俺は驚いて声を上げてしまった。 ただの高校生には負担が大きすぎるのではないだろうか。 「でも僕が入学したおかげで、女の子に悪さをするような輩は減ったんだよ。僕が愚かで可愛い男子生徒の性のはけ口になっているおかげで。」 律樹さんは自慢げだが悲しき男子校の実態を目の当たりにした気がする。 「まあ、だから、蓮君が生徒会に誘ってくれたのは有難かったよ。藤ヶ丘の生徒会。親の印象も悪くはない。」 蓮さんはなんで、律樹さんを生徒会に誘ったんだろうか。率先して風紀を乱しているような気もするが。 「いっとくが、蓮がお前を生徒会に誘ったのはぶっとんだお前を自分の目と手の届くところに置いておきたかっただけだからな。蓮の見える範囲で乱れた行為は慎め。」 「今、蓮君いないじゃん。だから3人で気持ち良いコトしよ?」 「俺まで巻き込むな。」 「ってことで誠君。そんな短気なヤンキーにしがみついてないでおいで?」律樹さんは俺とのセックスを諦めたわけではなかったらしい。 律樹さんはいつの間にか自分の着ている学ランをはだけさせ、綺麗な身体をみせつけている。その様子は確かに、男子高校生には刺激が強い。 俺はさらに新さんにしがみつく。 そのとき、生徒会室のドアが開いた。

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