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地味な俺と不良高校生徒会と初めてのお誘い
「来週、俺の学校で文化祭があるんですけど。来ます?」僕はいつもの倉庫で4人に声をかけた。
俺から誘うことなんてなかったため、少しドキドキしながら。
ここ最近文化祭の準備でここにはあまり来れていなかったため、随分久しぶりである。蓮さん達も文化祭の準備で忙しそうであるが。聞くところによると蓮さん達は文化祭でストリップをやるらしい。この4人ならスタイルも良いしイケメンだし、なかなか舞台映えしそうであるが高校生の文化祭でストリップとは過激である。まあ、俺も準備で忙しいし、4人とも忙しそうであるため今日は文化祭のことだけ伝えて帰ろう。
「まこちゃんは何するの?」疲れ切っている悠斗さんが聞く。
「メイドカフェと執事カフェです。」
「誠くん女装するの?」
律樹さん、なんで俺が女装すると分かったんだ。
「まあ、そうですね。俺だけじゃなくて男子は全員女装ですけど。」
「それは楽しみ。4人で遊びに行くね。」案外あっさりOKである。
友達を誘うとはこんなに気軽なものだったのか。ちょっとほっとした。そしてちょっと楽しみである。
「律樹さん、うちの学校であんまり目立つことしないでくださいね。」俺はやんわり釘をさす。
「それは約束しかねるな。」
律樹さんが舌なめずりをしている。多分何人かヤるつもりだ。
「チビ女装すんのかよ。大爆笑してやるよ。」新さんも口は悪いが疲れ切っている。
いっておくが佐々木さんプロデュースの俺の女装は普段の俺より断然こっちのほうが良いとクラスの男子達に絶賛されるくらいの出来だからな。それはそれでどうなのかとも思うが。
「・・・。」蓮さんはほぼ死んでいる。
「なんかみんな疲れ切ってますね。」律樹さん以外。
律樹さんはめちゃくちゃ生き生きしているが。
「ストリップの練習がね。ただ脱ぐんじゃなくて多少踊ったりしてるし、律樹の指導が鬼だよ。蓮なんか喧嘩の後よりよっぽど疲れきってる。」悠斗さんがダルそうに言う。
「大変そうですね。」僕は同情して言う。
「俺には向いてない・・・。」珍しく蓮さんが弱気である。
「蓮君不器用だからね。でも生徒会長の蓮君が脱がずに誰が脱ぐのさ。嫌がってた新君も頑張ってるんだから。」
「うぅ。」
蓮さんは大分お疲れのようである。
「新さんあんなに最初嫌がってたのに。ちゃんと練習してるんですね。」俺が感心したようにいうと、
「まあ、俺昔少しダンスやってたからな。踊れるっちゃ踊れるんだよ。脱ぐのは乗り気じゃなかったが。」と自慢げに言われた。
なるほど。やってそうといえばやってそうである。
「ちょうどよかった。誠くん。蓮くんの元気がでるようにしてあげなよ。」律樹さんが笑顔で無茶苦茶なことを言う。
「どうすれば?」
「それは自分で考えなきゃ。」
うーん。どうするべきか。俺は今日の手土産である母のお手製プリンを取り出した。
「蓮さん。顔あげてください。」
蓮さんが顔をあげる。俺はその顔にプリンの乗ったスプーンを近づける。
「はい。」
蓮さんは俺をみて戸惑ったように口を開けた。俺はその口にプリンをつっこむ。
「美味しいですか?」
蓮さんが頷く。
その顔は真っ赤である。だんだん俺の顔も熱くなってきたからもう終わっていいだろうか。これでよいのかと律樹さんを見ようとすると蓮さんが俺の手をつかむ。
「全部。」
「え。」
「食べさせて。」
俺はその言葉通りに蓮さんの口にもう一回プリンをつっこんだ。
蓮さんが満足そうに笑みを向ける。あまり笑わない蓮さんの、この不意にくる笑顔はとても心臓に悪い。
「ふふ。想像以上だよ。」律樹さんが嬉しそうに言ってる。
「げぇ。これをみせられる俺らの身にもなれよ。」新さんが文句を言う。
「・・・・・・。」悠斗さんは声を殺して爆笑している。
俺は蓮さんにプリンを全部食べさせてからそそくさと家に帰った。
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