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地味な俺と短気で単純な絵になるヤンキーと送りオオカミ①

「いやー他校の文化祭っていいもんだね。なかなか今日の成果は大量だった。」 多くの女の子達と連絡先を交換して満足気な悠斗が言う。 「全く同感だよ。性春万歳だね。若い子が集まる場所っていうのは良いね。」 気のせいか肌がツヤツヤしている律樹が賛成する。 「今日の日向学園文化祭にて我らが悠斗くんのおかげで我が藤ヶ丘学園の文化祭も大分宣伝できたよ。明日は他の学校の文化祭行くから。今日で他校の高校生の連絡先は案外入手できたからね。やっぱりみんな文化祭ハイなのか警戒心を溶くのも簡単だったよ。」 「律樹は本当に頭が回るよね。最初にまこちゃんのところいってクラスの子達の警戒心溶いてから腕相撲大会ださせたのも計算通りだったんでしょ。地味で無害なまこちゃんとクラスの中心的存在のユカちゃんと仲良くしてたら嫌でも信用しちゃうもんね。で、その間に自分は地道なナンパ活動にいそしんで連絡先を増やしたと。しかも、他校の生徒でも生徒会長とか部長とかの校内の有名人達の。それに加えて自分も性欲満たしてくるんだもんね。」 「でも、あの腕相撲の盛り上がりは悠斗くんしかできなかったよ。しかもちゃっかり、あの司会のマドンナの連絡先ゲットしてきたんでしょ。」 「当たり前じゃん。鈴木百合ちゃん。明日ミスコン出るって言ってたけど多分優勝すると思うよ。男子だけじゃなくて女子からも信頼ありそうだったしね。」 たまに、この二人が話していると頭が良いやつって違うんだなと感じる。 今日の文化祭もチビに会うことが目的だった蓮はともかく俺は行く必要があったのだろうか。生徒会で活動することは、蓮の隣にいることができるのは嬉しいが俺は何のためにいるのか、ときどき不安になる。蓮は喧嘩がだれよりも強いし、人望があるしみんなの憧れだ。悠斗はへらへらしているけど頭が回るし愛想も良いしコミュ力が高い。律樹はド変態だが、先を見通して人を動かせるし、ド変態なりに人を引き付ける魅力があるし金持ちだ。喧嘩は蓮には勝てないし、馬鹿で短気な俺はこの生徒会に必要なのだろうか。その考えは俺が生徒会に入ってからずっと付きまとっている。 そして、蓮とつるむようになってからずっと、お前なんか必要ないと言われることを恐れている。俺は無価値な人間だから。 「新くん聞いてる?」 「聞いてる。明日は道ノ区高校の文化祭いくんだろ。」 「そう。道ノ区はどっちかというと偏差値低くてヤンキーとかギャルとか多いから今日より警戒心は少ないと思うけど、血の気は多いから乱闘騒ぎだけは勘弁してよね。」 「分かってるよ。」 俺はお前らみたいに頭が良いわけでも人望があるわけでもないから問題だけは起こさないようにしておく。喧嘩を売られたら我慢できる自信はねぇけど。

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