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地味な俺と短気で単純な絵になるヤンキーと送りオオカミ②
蓮達と別れてから、コンビニに行ったが目当ての漫画は売り切れであった。なんとなく家に帰りたくなくて遠くのコンビニに足を運んだ。
コンビニの前ではガラの悪い連中がたむろしていた。気にせず通り過ぎようとしたが、藤ヶ丘の生徒会という言葉が聞こえてきたため、足を止めた。
「藤ヶ丘の生徒会、この間ツイッターで流れてきたんだけどあの桐生達がやってんのな。」
「あーそれ俺もみた。桐生と和田と吉岡だろ。あと一人は知らない奴。」
「和田は相変わらず桐生の金魚のフンやってんのな。あいつ中学のとき苛められてたのに桐生とつるむようになってからマジで調子乗ってんな。」
「へー。初耳。桐生が喧嘩強いから媚売ってるわけ?くそだせぇ。」
「ってか吉岡は成績良かったのに藤ヶ丘なんていくの意外だな。」
「あれじゃね。女とヤリまくってんのばれて内申点悪かったんじゃね。」
「それはありえる。あいつ、付き合ってた女無理やり犯して自殺未遂に追い込んだらしいぜ。」
「最低じゃん。カワイソー。」
ゲラゲラ下品な笑い声をあげているこいつらは俺にまだ気づいてないらしい。殴りかかろうとしたら、後ろから袖を引っ張られた。
キレながら後ろを振り返ると長い黒髪を2つに結んだ背の低い女子が立っていた。
「新さん。アイス奢りますよ。」
キレている俺に全くビビることなく話しかけてきたこいつの声には聞き覚えがあった。蓮が絶賛片思い中の佐藤誠である。
紛らわしい恰好すんな。しかも最悪な時に遭遇した。
先ほど話していた奴らが俺に気づいたのかそそくさと逃げた。しかし、その顔が嘲笑するようにこちらを見ていた。
「おい、話は「新さんいきますよ。」」チビが俺を強引に引っ張る。
「てめぇ何してんだよ。そんな姿で。」
文化祭でみた女装姿のままである。メイド服ではなく制服を着ているが。メイクの効果か、ぱっちりとした目でこちらを見上げるチビをちょっと可愛いと思ったことがまた腹立だしい。
「それはこっちのセリフですよ。何で俺の帰り道のコンビニで喧嘩しようとしてるんですか。」
「てめぇには関係ねぇだろ。」
「アイス奢りませんよ。」
「・・・・・・・。」
「ガリガリくん。ソーダ味。あと漫画。」
俺は不機嫌に言うとはいはいと言いながらチビがアイスと漫画を持ってレジに向かった。
「「・・・・・・。」」
コンビニをでてから二人とも無言である。俺はアイスを食べてチビは肉まんを食べている。
俺がチビを見ると食べますかといって半分肉まんをくれた。
終始無言である。こいつは自分からはあまり喋らないんだった。
「なんだその恰好。文化祭終わってんだろ。」
「佐々木さんがせっかく可愛くしてくれたからそのままにしました。ちょうど女子の制服貸してくれたし。コスプレ大会というか着せ替え人形にされて、写真をみんなに撮られていたら帰るのも遅くなったので。」
なんでコイツは女装に違和感がない上にまったく抵抗がないんだ。チビの女装はおそろしいくらい馴染んでいる。
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