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地味な俺と派手なギャルの初めての出会いと日向学園文化祭2日目②
「佐藤、覚えてなかったら別に無理して思い出さなくて良いわよ。」
「なんで母さんは覚えているの?」
佐藤は全然思い出せないようである。アンタは別に覚えてなくても良いわ。アタシがずっと覚えているから。
「あら、だって誠が初めてガールフレンドを連れてきたんだもん。覚えているわよ。ユカちゃん綺麗になったわね。これからも誠をよろしくね。」
佐藤のお母さんが優しく言ってくれた。
アタシは、ちょっと泣きそうだった。
午後からミスコンのステージがある。アタシは男子の制服を着てメイクをしていない自分のポスターを見つめる。事前投票ではぶっちぎりの1位だったらしい。よっぽどのことがない限り1位は決定している。このまま、男子の恰好のまま出れば確実に1位をとれる。
「ユカ、ミスコン始まるから準備しよう。」
中学からの友達のマミが声をかけてくる。
「準備まだ早くない?執事服から男子の制服に着替えるだけなんだけど。」
アタシがマミのほうを振り返るとマミはいつものアタシが着ているスカートとメイクボックスを持っていた。
「マミ、アンタ。なんで。」アタシは困惑して言葉を詰まらせる。
「ユカはこっちのほうが似合うよ。ミスとかミスターとかどっちでもいいけど、ユカが一番可愛くてカッコよく見える恰好ででないと意味ないじゃん。」
「ユカはこっちのがしっくりくるし。」
「男装も似合うけどね~。」
「男装はたまにするから良いのよ。」
クラスの女子達が次々にマミの意見に同意する。
マミは入学式のときにギャルなアタシに「メイク上手だね。可愛い。」と声をかけてくれた。
男女別に並んでいて、本名も呼ばれているから、本当は男だと気づいていたはずなのに。
アタシは、友達には恵まれすぎている。アタシは日向学園に入学してこの子達と出会えて本当に良かった。
「・・・・・・。ありがとう。」アタシの目から涙がこぼれた。
そんなアタシをアタシより20㎝も背が低いマミが何泣いてんのよと言いながら抱きしめてくれた。
アタシはいつものギャルメイクをして、スカートを履いて、黒のタイツを履いた。うん、こっちのほうがしっくりくる。アタシが、一番好きなアタシである。
ミスコンはクラス総出でみんなが応援に来てくれた。
アタシはステージに行く前に佐藤に声をかけた。
「今日のアタシ可愛い?」
「佐々木さんはいつも可愛いじゃないですか。」
何で今更そんなことを聞くのかというように佐藤が言う。こういうやつだった。そういうこと当たり前のように言うのやめてよね。調子くるうから。
アタシはステージパフォーマンス後の投票でもぶっちぎりの1位でミスコンに優勝した。
こうして2日間の怒涛の文化祭は幕を閉じた。
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