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地味な俺と不良高校の生徒会と文化祭へ行く準備
俺は悠斗さんと一緒に藤ヶ丘高校の生徒会室に行った。
悠斗さんはどんな顔して3人に会えば良いのかとドアの前でしぶっていたが、中から新さんが扉を開けて、忙しいんだからうだうだしてねぇでさっさと入れと怒鳴ったためその問題は解決した。蓮さん達は帰ってきた悠斗さんに何も聞かなかった。この4人は、どうでも良いことは長々と話すくせに、自分の弱みは決して話さない。でもみんな鋭いから、周りがなんとなく悩んでいることを察して様子を伺う。なんて面倒くさい人達だ。仲が良いなら、お互い優秀だと知っているならお互いに素直に頼ればよいのに。でも、この4人はそれで良いのだ。自分の悩みは話さないくせに、他人の悩みに敏感だから。本当に苦しいときは、自分から助けを求める前に誰かが助けてくれていることだろう。
「誠、いろいろありがとう。」蓮さんが俺に声をかけた。
「俺は何もしてませんよ。」
本当に俺は何もしていない。さっき、悠斗さんは助かったと言ってくれたが、悠斗さん一人でも多分大丈夫だっただろう。
「そばについてくれただけで十分だ。」
蓮さんが俺の頬を撫でる。俺の頬が熱いのは多分殴られたせいだけではない。
「誠、今週の日曜日の文化祭、来てくれるか?」
「もちろんです。」俺は頷いた。そして、ある決心をした。
俺はその夜、佐々木さんに連絡した。今週の日曜日、お願いがあると。
そして、藤ヶ丘高校文化祭当日。時刻は10時。佐々木さんが家に来た。
「で、桐生の告白の返事をするから、アタシにメイクをして欲しいわけ。」
「そうです。呼び出してすみません。」
俺は佐々木さんに連絡し、日曜日の朝女装をするのを手伝って欲しいと頼んだ。悠斗さんのときは姉ちゃんにやってもらっていたのである。最初に女装させられた時の制服は何故か佐々木さんがアタシはもう着れないから返すといってくれたのだ。姉ちゃんは懐かしいと喜んでいたが。
「いいわよ別に。アタシもマミ達と藤ヶ丘の文化祭行くつもりだったし。」
「そうなんですね。」
「あっ。化粧道具は俺の姉ちゃんの使ってください。いつも借りるの悪いし。」
「いつも借りるって最初と文化祭のときしか貸してないわよ。使い慣れているほうがやりやすいからアタシの使う。」
佐々木さんは自分の化粧道具を惜しげもなく俺に使って化粧を進めていく。
「ありがとうございます。」
今度なんか買って返そう。化粧品は詳しくないから、姉ちゃんに聞いて。
「で、なんでセーラー服なんですか?俺日向の制服持ってますよ。」
「アタシの友達で高校から日向の子が、中学のときセーラー服でもう着れないからってくれたのよ。アタシもサイズ合わないし、もったいないから持ってきた。それに、藤ヶ丘の制服学ランだから、セーラー服のほうが並んだ時にしっくりくるかと思って。このセーラー服のデザイン可愛いし。」
「そこまでしてもらってすみません。」
本当にお世話になりっぱなしだ。
「告白しに行くのよ。気合いれないでどうすんのよ。」
「佐々木さん。返事をしに行くだけで俺が告白するわけでは。」
「同じようなもんでしょ。とにかく乙女の一大事なんだから生半可な格好はさせないわ。」
俺の女装にそんなに一生懸命になってくれるとは。本当にお世話になりっぱなしである。最初から。
「佐々木さん。ずっとお礼をいいそびれてたんですけど、最初に俺のこと無理やり女装させてくれてありがとうございます。あれがきっかけで蓮さん達にも出会えたし、クラスのみんなとも関わるようになったから。」
「別に。アタシが勝手にやったことだし。
それに、アンタそっちのほうが可愛いわよ。」佐々木さんが笑って言った。
佐々木さんは本当に、日向学園一かっこいいギャルである。
佐々木さんと同じクラスになれて、佐々木さんとこうして関わるようになれて本当に良かった。
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