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地味な俺と不良高校最強の男②
金髪男は俺のセーラー服を上までたくし上げた。周りからヒューという声が聞こえる。なんのヒューだ。
男は案の定顔をしかめた。
「こいつ。男だ。」
周りがざわざわする。
「彼女じゃなかったのか?」
「いや、でも桐生はすぐ来るって言ってたぞ?」
「なんで女装?」
金髪男は俺をまじまじと見る。
「藤ヶ丘高校の泡姫。」
は?
「生徒会にいるだろ?俺らの綺麗な風俗嬢。お前もその口か?」
おそらく律樹さんのことだろう。律樹さん、ゲテモノが過ぎる。こいつらともヤってたのか。
男がセーラー服のスカートをまくりあげ俺のパンツをずらして俺の性器を露わにする。
「さっきからこいつ全然喋らないな。抵抗もしないし。」男がおもむろに俺のペニスに手を伸ばしてきた。男は俺の竿の根本からご丁寧にしごいていく。
周りの奴らはニヤニヤしながらそんな俺達をみている。なんて悪趣味なことだ。
「しかも全然反応しねぇし。」
当たり前である。この状況で勃つわけないだろ。
「つまんねぇな。」男たちがぼやいでいるが俺がお前らを楽しませる義理はない。しかし、俺の上に乗った金髪男は俺から降りたと思ったら、俺の上体を無理やり起こして俺の腹を蹴り上げた。
「ごほっ。」
痛いし苦しい。俺が座ったまま身体を曲げると男が自らの性器を取り出して俺の顔を持ち上げて言った。
「舐めろよ。」
最悪の状況である。
なんとこんな状況にも関わらず目の前のグロテスクな性器は見事に勃っている。今の流れのどこに興奮したんだ。しかし逃げられる状況ではない。目の前の現実を受け入れたくなくて俺が目を閉じると派手な音を立てて、ドアが壊れる音がした。
「何、してんだ。」
空気が震えた。蓮さんである。
「てめぇら、何してんだって聞いてんだ!」蓮さんの怒鳴り声が倉庫中に響く。
不良達は誰一人として固まったように動かない。こいつらは5人もいるのに、俺を人質にとっているはずなのに、何よりこいつらが蓮さんを呼んだのに、烈火のごとく怒っている蓮さん一人に恐怖で誰も動くことができない。蓮さんがこんなに怒っているところを俺は初めてみた。しかし、ここまで怒りで恐怖を植え付ける人はいないだろう。それほどの迫力があった。俺の目の前の男は震えていた。しかし、俺がそれを認識したと思ったら、蓮さんはその男を蹴り飛ばした。一瞬のことだった。それから恐怖で震えあがっている不良達を蓮さんが一人残らずボコボコにするのに時間はかからなかった。恐怖で失禁している者もいた。これが、蓮さんなのか。不良高校の頂点に君臨する最強の男。喧嘩が強いだけじゃない。その存在だけで人を圧倒するほどの迫力と威厳がある。これで、俺と同い年なんて信じられない。不良高校のトップなんて器じゃ到底収まり切れないほどの圧倒的な威圧感。ヤクザの組長だといっても何の遜色もないだろう。
先ほどまで怒り狂っていた蓮さんは俺の衣服を整え、俺の両手を縛っている紐を外してくれた。
「すなまい。俺のせいで。」さきほどまでの蓮さんとはうって変わって蓮さんがうなだれている。なんだか俺の姿をみて泣きそうである。そんな姿を見ているとこっちが申し訳ないくらいだ。
「蓮さんは全く関係ないですよ。それより、助けてくれてありがとうございます。」俺はそんな蓮さんの頭をなでる。
「・・・・・・。」蓮さんはまだうなだれている。
しかし、何か忘れているような。
「あっ。蓮さん、ストリップ!急がないと!」
そうだった。あまりの展開に忘れていた。
とにかく時間がないのだ。これは蓮さん達のストリップをぶっ潰すために行われていたものだった。
「ああ。」
蓮さんもそれで気持ちを切り替えたのか、俺の手を引き倉庫を後にした。
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