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地味な俺と不良高校のストリップと告白の返事②

会場の興奮が冷めない中、激しいロックとともに、軍服を着た蓮さんが登場した。 ただ立っているだけで威圧する蓮さんの迫力に観客が息をのむ。帽子を投げ捨て、下ろした前髪をかき上げる。そこで歓声があがるが、その時不自然に曲が止まった。 時間がたっても、曲が再びかかることはない。 周りはざわざわするが蓮さんは全く動じない。そして観客にその鋭い眼差しを向ける。蓮さんのその視線に会場の時が止まる。 蓮さんは全員を一瞥したかと思うと、俺のことを真っ直ぐ見つめた。俺に好きだと言ったときと同じ目で。 あぁこの目だ。俺が好きになったのは。 蓮さんがかすかに笑った気がした。 蓮さんが俺に向かって手を伸ばす。その手から一筋赤い液体が流れた。さっき不良を殴ったときに手を切ったのだろうか。 その瞬間、俺は動きだした。 俺はそのまま舞台にあがった。蓮さんの手を自らの口元にもっていき、その垂れた赤い血を自身の舌で舐めとった。舌から口に鉄錆のような味が広がる。 周りから悲鳴のような歓声のような声が上がるがどこか遠くに聞こえる。 蓮さんが黒の軍服を脱ぎ棄てるとその引き締まった身体に黒のハーネスがはまっている。 俺は自分のセーラー服の上を脱ぎ捨てた。 俺は蓮さんを勢いよく押し倒して蓮さんの唇に自分の唇を押し当てた。初めてするキスは血の味がした。 周りから空気が震えるほどの爆発的な歓声があがる。 10秒ほど唇を重ねていただろうか。息が苦しくなって俺は蓮さんの唇から自分の唇を離した。蓮さんが俺をそのままお姫さま抱っこして舞台の裏までつれていってくれた。 舞台の袖に行くと律樹さんは満足そうににこにこしているし、悠斗さんは声をあげて笑っているし、新さんは唖然としている。 「曲がとまったときはどうなるかと思ったけど助かったよ。今日一番の盛り上がりだ。」律樹さんがニコニコして言った。 「まこちゃん・・・・。本当に・・・、最高、あっははは。」息も絶え絶えで悠斗さんが言う。 「お前・・・・。何してんだ・・・・?」声にならない驚きっぷりは新さんだ。 俺はそんな3人の様をみて、声をあげて笑ってしまった。あまりに笑うもんだからさきほどまで笑い転げていた悠斗さんも含めて心配そうにみんながこちらをみている。 他人と関わることを避けていた。地味で目立たない奴でよいと思っていた。それが自分から大勢の前に出て、服を脱ぎ捨てて自分からキスするなんて。 後悔はしていない。今の状況が、楽しくて楽しくて仕方がない。 「蓮さん、俺のこと助けてくれて、見つけてくれてありがとうございます。」 人と関わることを避けていた、地味で目立たない俺を探して、好きだといってくれてありがとう。他人と深く関わらないと自分の殻に閉じこもっていた俺を救い出してくれてありがとう。蓮さんのあの告白が俺の殻を壊してくれたんだ。

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