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第2話
俺は梶みたいに真面目な性格ではなく、どちらかと言えば適当な人間だが何故か選ぶ進路は同じだった。
趣味も好きな食べ物も、恐らく好きな女のタイプも違う。何もかも合わない。水と油とはこの事だ。
「そして会社まで同じになった。お互い何の情報交換もしていないのに、だ」
「腐れ縁ってやつだな」
普通、高校までは一緒でも大学、社会人になるにつれ仲のいい友人とはバラバラになる。梶は仲のいい友人ではない。むしろ、仲は悪い。それでも社会人五年目、それなりに楽しくやってきた。
「先日、部長から見合いの話を持ち掛けられた」
「マジで? どんな子?」
梶は将来有望だし、見た目も悪くないから女子社員に人気があるのは知っていたがまさか部長からそんな打診があったとは。
「話を聞く分には文句の付けようがない、素晴らしい女性だ」
「へぇ……」
一方、俺は至って普通の男だ。勉強だけは出来たけど、それだけじゃ世の中は渡っていけない。梶よりは対人スキルはある方だが、やはり見た目は大事だ。
昔からコイツ、モテてたんだよな。思い出した。憧れだった高校の先輩も梶が好きだと噂で聞いた。あ、何かムカついてきた。
「なら、結婚すりゃいいじゃん。何でそれが俺になんの?」
さっさと見合いして結婚して可愛い子供でも作って、細やかだけど幸せな家庭とやらを築いてしまえ。
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