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第4話

「松本みたいな奴ならと考えた時に気が付いたんだ」 「何を?」 「どうやら俺はお前が好きなようだ」 「はあ?」  晴天の霹靂ってやつを俺は今、体感した。  やっぱりこれは梶が仕掛けたドッキリだな、とジッと睨みつけると大真面目な顔で睨み返された。負けじと更に睨むと、梶の顔が少しずつ赤くなっていく。  その変化が面白くてまじまじと見つめていると、顔も首も真っ赤にして俯いてしまった。  ……あれ、これはもしかしてマジ?  っていうか、お前、今までそんな真っ赤になるような事、一度もなかっただろ! いつも、飄々というかクールというか、鼻で笑うような顔してたじゃないか! 俺に対して塩対応もいいとこだったじゃないか!  知り合ってもうすぐ十五年になるというのに、こんな梶は初めて見た。ぶっちゃけ、正直、ちょっと……可愛い。 「今まで近くに居すぎて意識してこなかった。だけどちゃんと意識して見ていたらお前の事しか考えられなくなってしまった……。いつも傍に居たから気が付かなかったんだ」  待て待て待て!! そんな顔真っ赤にして何て告白しやがるんだ、お前は!! 俺だって意識した事なんか一度もなかったのに、これじゃあ意識してしまうじゃないか!! 「男同士なのも承知の上でお前が好きだ! これは生半可な気持ちじゃない、真剣なんだ。この婚姻届がその証だ!」  俯けていた顔を上げて真っ直ぐに俺を見る強い眼差しに俺は言葉を失って見惚れてしまった。

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