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04 「...クラスメイトの地味メンのこと考えると、何故かオナニーの手が止まらないんだけど...」1
――ガチャリ。
「え、と…こんばんは、かな? 矢代くん」
「……っっ!!!??」
――ああ、俺は、俺はとんでもないことを……気づけば、してしまっていたんだ。
最初に、ちゃんとアイツを――『藤枝いつぐ』という存在をしっかりと認識したのは、五月の半ば。ある晴れた日の放課後のことだった。
ピコンっ♪
「…っ、チッ…またアイツからだ…うぜえ」
「んっ? あいつって、ああっもしかして彼女のことか?」
「…ああ。まぁた家に親いないから、遊ぼうってよ。…どーせセックスしたいだけじゃねぇか。どんだけサルなんだか」
「まぁまぁそう言うなって。だってあの子と付き合い始めたのって、確か二年に上がって一年の冬に付き合ってた子と別れて、その後に告白されてからだろ? まだまだラブラブしてたい時期なんだって、きっとさ。おれ今彼女いないから羨ましいぞ~」
「彼女いないって……オマエは自覚して作ってないだけじゃんか。麻美に聞いたぜ、この間下級生のオンナからの告白断ってたってよ」
「ええっあさみんあれ見てたのかぁ、あちゃ~」
「……何。遼太郎、好きなヤツでもいんのか」
「えっ…ん~……どうだろう?」
「何だソレ、自分の気持ちもわかんねぇのかよ…」
「ははっ、だなっ」
……なんて、そう偉そうに言った自分だって。
『好き』というモノが、本当はどういう感情なのかちゃんとわかってなかったくせに……ふいにどこかを見つめるようにいつもの明るい笑顔を見せた、中学の頃からの唯一のダチである東堂遼太郎(とうどうりょうたろう)に、俺こと矢代疾風(やしろはやて)は呆れるように突っ込みをいれていたのだ。
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