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「っ、疾風くんっ…はっ♡」
「んあっ♡ ん、ぁふ…♡ あ、いつぐぅ♡♡」
「ふ、っ♡♡」
「ぁ、んんっ…はぁ♡♡」
じゅぱじゅぱ、ちゅるちゅる。ぐちゅ、じゅるるる。
シンと静まり返った部室の中、凡そこの場に似つかわしくない卑猥すぎる音がこれでもかと響き渡る。
はぁ、キスだけでも気持ちよかったっていうのに、コレはもっとその上をいく気持ちよさで、どうにかなってしまいそうだ。
ディープキス……べろちゅうってこんなにえっちなものなんだ。
ふわふわ心地よくなる気持ちよさと同時に、身体中が電流が走ったみたいに痺れるような感覚にも襲われる。
「んぁ……いつ、いつぐぅ、もっと…♡」
「っ♡♡」
疾風くん可愛いっ……かわいくて、でもすっごくえっちで……こんなの、
「ぷはっ……は、オレの心臓…もたないっ……」
「あっ……ん、なんだよ……もうキス、終わりなのか…いつぐ、」
「っああぁぁ…!! 待ってそんなシュンとした顔しないでっ、オレの制服の袖ちょこんって掴まないでっ、可愛いことばっかりしないで…!!」
「は……なっ!? そっそんなことしてねーしそんな顔もしてねぇよ…!!」
「してるからっ!! ううっ、疾風くんがかわいくて童貞殺しすぎるっ……」
「どっ……っ、何だよ、童貞殺しって……つーか、か、可愛いって…あんま言うな」
「えっ、ごめんっオレ今だけじゃなくてさっきも可愛いって言っちゃったんだけど、もしかして嫌だった…?」
疾風くんのあんまりのかわいさに自分の心臓がとまっちゃうんじゃないかと、オレは名残惜しくもキスをやめ、口を離して急いで酸素を取り入れる。
……ほんと勘弁してほしい。オレ、キスだって今日が初めての童貞なんだからさ。
けれどそんなオレに追い打ちをかけるかのように、疾風くんはまたも可愛いことをしでかすもんだから、オレはついつい正直な気持ちとして『可愛い』と彼に言ってしまったのだが……でも、そうか。
こういう行為をするにしても、疾風くんだって普通の男なんだし『可愛い』は禁句、なのかな。
焦り謝るオレに、
「っ、嫌じゃねぇ…むしろずっと言ってほしいって思ってた台詞だけど……でも、いざこう面と向かって言われるとは、恥ずかしくて……死にそうになんだよ、くそっ…」
「――…っ」
赤くなった頬を隠すようにして、そんなコトを言ってくるから。
「ああもうっ、やっぱり疾風くんは可愛いよっ」
「っ、だからオマエ可愛いは、」
「だってしょうがないよ、っていうか疾風くんがかわいすぎるのが悪いっ……ねぇ、オレ以外の人にもこんな可愛いトコロいっぱい見せてたの…?」
「なっ……んなの、見せるわけないだろっ…」
「…ほんとに?」
「……見せてない。麻美にも、奈々にも亜里沙にも、遼太郎にだって……っ、オマエだけ…いつぐだから、俺はこんな風になっちゃうんだからなっ……」
「!! ……そっか。じゃあ、オレが責任をもってそんな疾風くんをいただいちゃってもいい、ですか?」
「っ、ばぁか。言っただろ、俺のことめちゃくちゃにしてって……だから早く、俺をオマエだけのモノにして、いつぐ」
「…うん。疾風くんの全部、オレがもらうね――…」
だからオレは、
今度こそ目の前の可愛い人をぎゅっと強く抱きしめながら、その場に押し倒し。
暗くなりはじめた部室の中。
まるで誓いのキスかように、もう一度、そっと疾風くんに口づけをおくったのだった。
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