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「…はぁ、んんっ♡ んむぅ…♡♡」 「ふはっ…ん、はやてく…っ♡♡」 「ぁん、あっいつぐもっとぉ♡」 「っ、うん、もっと♡」 「んあ…ふぁ…♡♡」  サッカー部の部室の真ん中。  仰向けに倒れる疾風くんに覆いかぶさるようにして、オレは彼の柔らかな唇のその奥を、自身の舌でこじ開け貪っていく。  じゅるじゅる、ちゅぱちゅぱ、じゅうじゅう、レロレロ、  唇と唇を隙間なく合わせ、互いの舌と舌をまるで離すまいと言わんばかりに絡めとり、押したり引っ張ったり、歯列をなぞったりと、これでもかと咥内を暴れまわる。 「ん、ぅあ…♡ ふ…ぁん、はぁ…♡♡」 「ふっ、ん…ふは……疾風くんの口の中、キミとオレの涎がいっぱいでえっちだ…♡♡」 「っ、ばぁか…♡ オマエの口の中だって、俺といつぐの涎でぐちゃぐちゃだろうが♡♡」 「ふふ、だね♡ ね、もっとオレの涎で疾風くんの咥内とろとろにしていいかな♡」 「だから聞くなって……ん、俺のココ、オマエの舌でたっぷり犯してくれ…♡」 「…っなにその言い方、えっちすぎるでしょっ…♡♡」 「んんんっ♡♡♡」  教室でいつも遠巻きに見ていた時の疾風くんからは想像できない乱れ切った表情、台詞にオレは身体が沸騰したように熱くなり。  はぁはぁと興奮した息を吐きながらも、もう一度彼の唇に勢いよく自らの唇で蓋をし、疾風くんの要望通り口の中をぐちゅぐちゅと犯していった。  ディープキスだけでイけちゃうんじゃないかというほど深く、濃厚に絡み合ったのち、互いに名残惜しそうにゆっくりと離した唇と唇に、ツツ…と透明な糸のアーチが出来上がる。  どちらのモノなのか、プツンと切れたその涎を瞳をとろんとさせながら見つめていた疾風くんは、ふと口を開き。 「俺、さ……ディープキスって、好きじゃなかったんだよな」 「え……えっそうなの!?」 「ああ、つーかキス自体がそんなに好きじゃなかった」 「そっ、そうだったんだ……あ、っていうかそうだよな…疾風くん今まで彼女とかいたんだから、そりゃ色々シてるよね…」 「っ、あ…わりぃ…今の発言無神経だったな…」 「えっあっいやいやいやっ…むしろこんなイケメンで女子にモテモテな疾風くんがキスもセックスもしたことなかったりした方が逆に驚いてひっくり返っちゃうからっそんな謝ったりしないでよ…!!」 「…サンキューないつぐ。あ、でも後ろ使うのは初めてだから」 「いやソッチこそ初めてじゃないなんて言われたらオレショック死しちゃうからねっ!!?」 「!! ふはっ…ショック死って、大袈裟だろっ…」 「っ、」  そう言って緩く眉を下げて笑う疾風くんは、やっぱりかわいくて。  また新しい彼の姿を見れた気がして、オレの心臓がトクンと小さく跳ねた。  ……本当、可愛いなぁ疾風くん。  どんどんオレの中でおっきくなっていく彼の存在に、思わず溜め息をつきそうになると。 「……いつぐ」 「えっなに疾風く…」  ――ちゅっ、 「キスは好きじゃなかったけど……いつぐとは、ずっとしてたい」 「っあ、」 「オマエとなら、一日中だってしてたいくらい大好きだ」 「……ああもうっ、ほんっと疾風くんはさぁっ…!」 「え、っうあ…♡♡」  ほらまた、そうやって可愛いって思われるようなコトを自分から仕掛けてくる。  やっぱり、疾風くんは童貞殺しだ。  顔が一瞬で真っ赤に染まってしまったオレは、だから仕返しと言わんばかりに、笑って油断してる彼目掛けて次にはたくさんのキスの雨の攻撃をお見舞いしてみせたのだった。

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