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「――…じゃ、じゃあこれだけじゃなくて、オレの制服も嗅いで…? し、しかも…えっ疾風くんがそんなに、お、おなっ…」 「っ、そこは口にするんじゃねぇよ……俺だって、自分でも驚いてるっての…」  疾風くんからのいきなりの衝撃的な『オマエのストーカー』宣言。  その内容は、彼がオレのことを想い我慢できずにオレの服の匂いを嗅いでしまったのが今回が初めてではなく、以前も一度だけあったとのこと――あの、伊波くんに間違ってボールを当ててしまって、保健室に行くために六限に遅れた時にそんなことがあったなんて。  オレのことを好きだときちんと自覚する前から、教室や放課後のサッカー部の部活動などで気づけばオレを目で追い観察してしまっていたとこ。  そして自分がオレに対し恋をしているのだとわかってからは、さらに注意深くオレを見つめるようになったこと。    さらに言えば……オレのことを好きになってからは、ほぼ毎晩といっていいほどに……オレを想いながらお、オナニーをするようになってしまったとのことで。 「つ、つまりこれってどう考えても、俺がオマエのストーカーしてたようなもんだろっ……だからその…本当悪いと思ってる」  そう、疾風くんは申し訳なさそうに顔を歪めてオレに謝罪の言葉を述べるのだけれど、告げられた内容を聞いた当のオレはというと。 「っ……あのさ、疾風くん。そんなの全然ストーカーのうちに入んないと思うし……むしろ今してくれた話全部が全部、オレをこれ以上ないかってくらいに喜ばせる情報にしかなってないんですけどっ…」 「は……なっ何言って!!?」 「ほんともう、疾風くんのかわいさでオレの心臓止まりそうっ…」 「っ、お、な、ばっ……」  恐らく予想していたものとはまったく違ったであろうオレからの返答に、疾風くんは顔をボッと赤くさせながら言葉を発せずに口をパクパクとしだす。  ……いや、キミのその『お、オマエいきなり何言ってやがんだっばっバカじゃねぇの…!?』  的な反応の方が逆にオレにはビックリだよ。  だって、キミの言った内容ってつまり要約すると  ――それだけ、疾風くんがオレのことを大好きなんだって証明でもあるわけで。 「こんなの、嬉しい以外のなにものでもないよ…疾風くん」 「……っ、いっ言っとくけどな、俺はオマエを好きになるまではむしろ全然おっオナニーとかなんてしてなかったんだからなっ…!!」 「! えっ…た、確かに教室での女子の扱いとか遠目で見てる範囲だとちょっと淡泊そうな感じではあったけど……そっか、オナニーも前はそんなにだったのに…オレのせいで」 「っ、そうだよオマエのせいだばぁかっ…」 「へへっオレのせいかぁ、そっかぁ」 「に、ニヤけた顔すんなっつの」 「いやいや、だってそんな」  そんな『オレのことを好きになってえろくなってしまいました』的な宣言されて、ニヤけ顔にならない男がいるっていうなら名乗り出てほしいくらいだよ。  疾風くんて、もしかして天然なんだろうか。  怖いなぁ、無意識でこんなオレが喜んじゃうようなことバンバン言いまくっちゃうとかさ。

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