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第5話
他人の黒髪が、己の股座で揺れている。初めてで、なんとも信じがたい光景だった。
「むぐ、んっ……んはぁ……」
喉奥まで飲み込んでいた陽根を唇から離し、睦生は息を荒くしながらも甘く首を傾げる。
唇には唾液と、歩希の勇んだ体液が絡まって、淫らな粘着質を見せた。
「気持ちい、ですか?」
初めて人にこんなことをされて……いやそもそも自慰行為以上の刺激を与えられて、気を抜けばすぐにでも果ててしまいそうだ。
歩希は余裕なく頷く。食いしばった唇すら、解くのは危険だった。
「ほんと? うれし……」
再び舌を伸ばすと、先走りと唾液をわざと混ぜて、粘膜の滑りをよくしていく。ぬらぬらと光る雄は、今まで見たことのないほどに張り上がった。
耐えながらも、歩希は睦生にだけ施させることへ、罪悪感を抱き始めていた。
――それに、何もできないでいるのも、男として悔しい。
「むつ、きさ……」
そっと手を伸ばすと、指先を睦生の額から頭頂部へ潜らせる。毛先はさらさらとしているが、やはり暑さのせいで根元はしっとりと濡れていた。
そうして潜ませた指の腹で、そっとこめかみやうなじ、耳を撫でつけていく。
「ふあ……っ」
咥えたままの睦生から、初めてそれらしい反応がかえった。耳朶の丸みを指先で辿っていくと、睦生の背中がしなる。
歩希はもっと探ってみたくなって、髪をまとめあげているヘアクリップを外す。はらはらと髪が下りていき、毛先がうなじをくすぐった。
「あっ、は、なに……集中、させてください」
ここにきて、歩希は優位に立ちつつあるのだと気付いた。たとえ初めてでも、されるがままでいたくない。そんな熱が灯る。
唇のまわりをべたべたにした睦生の肩を掴むと、ほぼ衝動的に押し倒した。
「睦生さんも、やってあげます」
「えっ、なんで、オレはいいって!」
肌にぴったりと吸い付くワンピースの胸元をさぐる。
「ふ、あ……?」
ビールラベルのごちゃごちゃとした柄に紛れて分からなかったが、小粒の膨らみがぷっくりと浮き出ていた。
「いつも、こんな風にたってるんですか?」
つんつんと指の腹で刺激すると、珠芽はぷるんと弾力を返し、更に硬くなる。
「あ、ちょっとぉ……歩希くんってば……」
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