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第7話

「はっ、はぁ……睦生さん……っ」  太腿に挟んだ男根を前後に揺らすと、肉の柔らかさに鼠径部の力が抜けてしまいそうだ。 「んん、歩希くん、ちゃんと腰掴んでて」 「は、はい……っ」  既にワンピースは睦生の体の表面でぐしゃぐしゃになり、腰のあたりで丸まってしまっている。  それとともに歩希は腰を支えるように掴み、太腿への挿入を続ける。 「あっ、歩希くん……」  支度用の姿見が二人の絡みを映し出していた。  乱れたワンピース、揺さぶられる黒髪があまりにも官能的に鏡の中を踊る。 「睦生さん……、すごいエッチな顔」 「うん……気持ちいね、歩希くん」  振り返る睦生の顔を見ていると、新たな欲が暴れてしまう。  けれどそれを口にするのはどうも憚られて、ちらと視線を泳がせる。 「……ねえ、キスしてみる?」 「いいんですか、……恋人でもないのに」 「ふふ、本当に真面目な子」  睦生が首筋を伸ばすが、はたと気付いて止まった。 「眼鏡、外していい?」  眼鏡を外すと同時に、噛みつくように唇を寄せ合う。唇同士が柔らかく噛み合う。ちょうど熟れた桜桃の表皮のように、甘いキスだった。  それと共に歩希の動きは激しさを増していく。 「はう、そこ……だめっ」  後孔から亀頭を滑らせ、会陰部を撫でて陰嚢の裏側を突く。  外側からぐいぐいと前立腺を刺激されて、睦生の膝が震える。 「ああっ、だめ、だめ……いっ――」  睦生の背が弓なりに美しくしなった時、歩希もまた彼の太腿に粘液を吐き出していた。 「は、はっ……むつきさっ、俺、出ちゃいました……」 「……いいよ、むしろよく頑張ったよね」  二人はもつれ合うようにしながら、カーペットにごろりと横たわる。 「オレも、挿入(いれ)てないのに気持ちよくされちゃって……」 「俺、気持ちよくできてましたか?」 「うん、……一応、こういうのもあったんだけど、充分だったね」  睦生が荷物に手を伸ばし、取り出したのは軟膏のチューブだ。  パッケージに書かれているのは、潤滑剤としても名の通った保湿油だった。 「これでお尻を柔らかくして……あ、さすがに抵抗あったかな」  静かな歩希に、やり過ぎたかと睦生は口をつぐんだ。 「そんなことないです。いますごく……睦生さんがどういう反応をするのか気になってて……いや、これはもう、雄として興奮してます」  やはり真面目な顔をして、そんなことを言うのだ。 「本当に、変な子」  どちらからともなく指先を絡めると、唇を重ねる。  そうして体を寄せ合って、どこまでもとろけていくのだった。

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