6 / 9
胴慾 6
*
もう何回目かなんてわからない。
珀英の指が、ローターが内部(なか)の所を擦(こす)って、振動が当たって、その度に内臓の底から突き上げる快感が走り抜けていく。
珀英が何か耳元で囁いているけど、何て言っているのかわからない。
オレ自身も、声を出して何かを言っているみたいだけど、何て言っているのか自分でわからない。
脳味噌が沸騰(ふっとう)している。
体の奥底、深くから爆発している。
でもそれは不快感ではなく、圧倒的な快楽で。死にそうな快楽があることを、初めて知った。射精するような感覚なのに、精液は出せないままで、出ないのに異常な多幸感と頭がボーッとする感覚。
このまま溺れ死んでしまいたいと思うほど、甘い快楽。
もう何度目かわからないメスイキをさせられて、何がなんだかわからず、オレは珀英に体を弄(もてあそ)ばれた状態のまま、涙を零(こぼ)し続けた。
「くす・・・6回目。10回まであと少しだね」
「・・・オレの・・・嫌い?・・・」
「え?」
珀英の顔がどこにあるのかわからない。
目の焦点(しょうてん)が合わない。
それでもオレは珀英に話し続けた。
力の入らない腕を、必死で持ち上げて、何とか珀英の頬に触れる。
ゆっくりと撫ぜる。
「・・・オレのこと・・・嫌い?」
「緋音さん・・・」
「ねぇ・・・嫌い・・・?」
うまく声がでているのかわからない。
言葉も発音できているのかわからない。
それでもオレは珀英に問い続けた。
一緒にいたいから。
こんなことで離れたくないから。
それに何より。
珀英はこの程度でオレを嫌いにならないって。
知ってるから。
ともだちにシェアしよう!