11 / 20
第11話
「狩野くん、私の部屋にベッドが一台しかないんだが?」
「え? 部長は悠希くんと合い部屋でしたよね?」
二人分のベッド二台が用意されているはずなのに、なぜか一台しかない。
問い合わせてみると、ホテル側の手違いだった。
「お詫びにホテル代を割引します、とは言ってますが」
「なぁに、構わんさ。悠希と私とで、同じベッドに寝るよ」
「父さん、それはちょっと……」
大柄な父と一緒に寝ると、潰されそうで怖い。
それに、克也のいびきや歯ぎしりで、睡眠不足になるのも御免だ。
「もしよかったら。悠希くん、私と同室でどうかな?」
「狩野さんと?」
それは素敵だ、と悠希は内心踊り出しそうだった。
彼は、すっかり智久の虜になっていたから。
ともだちにシェアしよう!